高速の暫定2車線問題、改善への課題 低い安全、利用価値

さまざまな課題を抱える、高速道路の暫定2車線区間。それを改善すべく付加車線を設け、効果が検証されることになりました。しかし単に「付加車線を設けること」が、必ずしも「正解」とはいえないかもしれません。

世界的に珍しい「片側1車線の高速」

 国土交通省は2016年6月7日(火)、暫定2車線(片側1車線の対面通行)で建設した東海北陸自動車道など5区間の一部に付加車線を設置し、効果の検証を行うと発表しました。

 対象は東海北陸道の飛騨清見IC~小矢部砺波JCT間、岡山道の賀陽IC~北房JCT間、米子道の蒜山IC~米子IC間、徳島道の徳島IC~川之江東JCT間、松山道の松山IC~大洲IC間で、実施時期は未定です。

 暫定2車線区間は日本全国に2537kmもありますが、高速道路は本来、4車線(片側2車線)以上がグローバルスタンダード。片側1車線は世界的にも珍しい存在で、それが高速道路の3割を占める国はほかにありません。そもそもが異常な存在だけに、多くの課題を抱えています。

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ポールなど簡易な形で上下線が仕切られた暫定2車線道路(2015年8月、清水草一撮影)。

 ひとつは、反対車線への飛び出しによる正面衝突事故です。中央分離帯のない暫定2車線区間は、4車線区間に比べると死亡事故率が約2倍。近年も繰り返し正面衝突による死亡事故が起きています。

 もうひとつは、利用価値の低さです。暫定2車線区間の制限速度は70km/h。低速車に前をふさがれると、たまに設置されている4車線区間でしか追い越しが行えません。しかも、暫定2車線区間があるのは過疎地域などで、並行する一般道がスイスイ流れていることが多いぶん、時間短縮効果(=利用価値)はさらに小さくなります。地方では「夜に高速を走るのはまったく無意味」とすら言われています。

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コメント

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8件のコメント

  1. 平行する一般道で充分通行可能で、「作ってしまった」2車線なら、いっそ片道2車線にするのはどうでしょうか?
    どちらかと言えば混みやすい方向に2車線とも使ってしまうとか。
    なんか規則か何かが阻む予感もしますが。

  2. 清水氏のおっしゃる通り
    同感です。
    付加車線については、最近のNEXCO、ランプの車線増設や
    登坂車線の運用変更案など
    基準に捉われず、より実情に合った
    柔軟な改善を行ないつつあると
    思います、どのような付加車線に
    なるのか期待します。

  3. 4車線(片側2車線)の高速道路で最も交通量が少ないのは、徳地IC~山口ICの2087台(2010年度)だから、
    この交通量を超えたら4車線化に向けた工事を行ってもいいと思う。

  4. 交通量の少ない区間については、片側二車線にして軌道を併設することで路面電車を第三セクターで運用し、地域住民の足を確保するというのはどうでしょうか?

    この場合、停留所の安全確保が課題になると思いますが、解決策はあると思います。

    線路の保守費用を削減できるため、山陰や四国などのローカル線を存続させるのと比較して低コストで運営できるような気がします。

  5. 利用者のいない区間まで建設する事自体が間違えである
    国道の立体交差化などの高規格で十分だろう。

  6. 全く同感です。
    高速道路は全て4車線で作るべきです。現状の交通量なんて関係ない。
    主要国道も全て4車線以上にするべきです。

  7. 筆者は地域の実情をご存知なのでしょうか。趣旨がよく分からない記事と感じました。

    >暫定2車線区間があるのは過疎地域などで、並行する一般道がスイスイ流れていることが多いぶん、時間短縮効果(=利用価値)はさらに小さくなります。地方では「夜に高速を走るのはまったく無意味」とすら言われています。

    都市部と比較して、過疎地域など?では線形改良による時間短縮効果が大きいのではないでしょうか。
    専門家として、何かこのように言われている根拠があるのでしょうか。

    >「25%以上の速度低下が見られる延長の割合が高く、渋滞も発生している」とされていますが、暫定2車線区間は制限速度が70km/hですから、速度が25%下がるのは当然のこと。

    下り坂から上り坂に差し掛かる箇所等、渋滞が発生しやすい箇所が多い等ということではないでしょうか。
    100→70kmをもって25%? 違うんじゃないでしょうか。

    >付加車線を設置するには拡幅する必要があります。暫定2車線区間も4車線分の用地は確保してあるものの、トンネル部の場合はもう1本トンネルを掘らねばならず、また長い橋の場合は架橋が必要です。そういった部分は付加車線設置の対象外になると思われますが、となると効果は非常に限定的で、逆に費用に見合うのかどうか微妙になるのです。

    だからそういう部分を除いて、出来る限り低コストで高い効果が見込める付加車線を設けるんじゃないですか?

    >交通量が極端に少ない暫定2車線区間は、地域の平均所得も加味すると、4車線区間の半額以下、7割引程度が適当だと考えます。料金を7割下げれば、交通量は5割以上増えるはず。

    交通量が増えると渋滞が発生し、速達効果が減るんじゃないですか。
    すると、付加車線ではなく、完全4車線化が必要になる。
    すると、橋梁やトンネルの新設が必要になる。
    無責任な提言ではないのでしょうか。コスト比較をされての発言でしょうか。

    暫定2車線で施工したからこそ、今の日本の高速道路網が構築できたわけで、
    また、将来の安価な4車線化を地域が望んでいるから中央分離帯が設置されないまま供用されている。
    筆者には失礼ですが、その現状を踏まえて提言しないと、チラシの裏と同じレベルと言われても
    仕方がないと思います。

  8. 都内に住んで地方に実家のある身としては、なぜ2車線にしてまで高速道路を作るのか疑問です。
    また、海外に住んでいたこともありますが東京のよう地域で片側2,3車線しかない高速もどうかと思いますし、首都圏や大阪周辺で高速が渋滞している状況の方が経済的な損失は多いと思います。