台風観測、なぜあえて飛行機で? 計画主導者とパイロットに聞く、理由やリスクとそのリアル

かつて米軍によって行われていた、日本における飛行機での台風観測が改めて始まります。気象衛星もあるこの時代に、なぜ再びリスキーとも思えることを始めるのでしょうか。計画主導者とそのパイロットに話を聞きました。

「災害のデパート」日本の、新たな「タイフーンハンター」

 いまや地球の裏側へさえも気軽な旅行を可能にした、現代の旅客機。とはいえ、最先端の技術で開発された高性能な機種でさえ、絶対に避けて飛行しなくてはならない気象現象があります。それは「台風」です。台風に突入した飛行機は猛烈な乱気流によって、最悪の場合、空中分解することさえあります。

 その台風に対し、あえて飛行機で接近し空から観測するという、なんともエキサイティングな計画が来年、日本で始まります。一見すると非常に危険に思えるこの計画、なぜ地上での観測では不足なのしょうか。あえて空中で観測するその意義とはなんなのでしょうか。

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日本の気象観測は衛星のほか、全国約150か所の気象台や測候所、約1300か所のアメダス(地域気象観測システム)、気象レーダー、検潮所などで行われている(写真出典:mikekiev/123RF)。

 これについておふたりの「タイフーンハンター」、すなわち、計画を主導する名古屋大学宇宙地球環境研究所の坪木和久教授と、飛行機の操縦を担当するパイロット、DAS(ダイヤモンドエアサービス)社(愛知県豊山町)の北原龍一機長に話を聞きました。

「大陸の東岸に位置する日本は、台風だけでなく、梅雨、大雪、低気圧(爆弾低気圧)、竜巻など、世界的にも気象災害の最も多いところです。さらにいえば、地震や火山もあり、地球物理学的には災害のデパートメントストアといえます」(坪木教授)

「災害のデパートメントストア」――なんともショッキングな表現で切り出した坪木教授は、次のように話を続けました。

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