造船「日本はずし」の危機? 間近に迫る環境規制、対策は難航か

2020年より、船の排出ガス規制が強化されることになりました。日本の造船業界もその対応に追われ、環境対策船の新設計に着手するなどしていますが、すでに先を行く世界は待ってはくれないようです。

船の排出ガス規制が決定 予想より早く、きつい?

 2016年10月下旬、IMO(国際海事機関)はSOX(硫黄酸化物)排出規制の強化を決定しました。これまで欧州海域や北米近海(ECA)のみに適用されていた船舶からのSOX排出規制が、世界中の海で適用(グローバルキャップ)されるというものです。従来、船舶の排気ガスからの硫黄分排出は3.5%まで認められていたのですが、今回の決定により、一気に0.5%以下(ECAでは0.1%)にまで規制されます。

 施行は2020年1月1日で、現存船、新造船問わずすべての船舶に適用される予定です。これに対し日本の造船業界は、「予想したより早いし、きつい」との戸惑いの声を上げるとともに、その情報収集と対処策の検討に追われています。

 海事専門紙である海事プレスが2016年12月1日(木)付けで伝えたところによると、今回のIMOの決定に関し、対策を問われた日本郵船の内藤忠顕社長は「ルールが不安定なため、的を絞り切れない。何が最適なソリューションか現時点ではまだ見えない」と話したといいます。環境対策において日本の海運会社では最先端にあるといわれる日本郵船でさえ、この規制強化への最適解は得られていないようです。

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2016年12月現在、世界最大のLNG焚きフェリー「バイキング グレース」。船体後部にLNGのタンクが見える。SOXとは無縁(写真出典:バイキングライン)。

 2020年以降の地球温暖化対策を定めた「パリ協定」に代表されるように、世界的な環境規制の高まりのなかで、船舶界においてもすでにCO2の排出やNOX(窒素酸化物)の排出、バラスト水の浄化対策といった環境対策が実施されています。そして今回のSOX対策については、次の3つの方策を中心に進められると考えられます。

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