着陸には要クルマ? 偵察機U-2Sが現役のワケ 冷戦の生き証人、2050年まで飛び続けるか

原型機の初飛行から60年間現役で、さらに2050年まで運用されるかもしれない偵察機、U-2S。アメリカ空軍をして「世界で最も操縦が難しい飛行機」と言わしめますが、はたしてどんな飛行機なのでしょうか。

高高度有人偵察機U-2S、まだまだドローンには負けない?

 ノースロップ・グラマンRQ-4「グローバルホーク」は、世界で最も高性能な軍用ドローンのひとつです。ジェットエンジンを搭載し高度1万8000mを32時間滞空、一度の作戦で地球半周を超える2万3000kmを飛行可能、そしてレーダーや赤外線・可視光センサーを搭載することで長時間の偵察任務を行うことができます。防衛省は3機の導入を決めており、予定通りならば2019年にも三沢基地へと配備される予定です。

「グローバルホーク」はすでにアメリカ空軍において運用中の実用機ですが、一方でアメリカ空軍は「グローバルホーク」と同種の、高高度有人偵察機であるロッキード(当時。現ロッキード・マーティン)U-2S「ドラゴンレディ」も運用中です。

練習機型のTU-2「ドラゴンレディ」と与圧服を着用したパイロット。在韓米軍基地にも駐留しており、まれに日本にも飛来する。2011年の東日本大震災でも出動した(写真出典:アメリカ空軍)。

 U-2Sの原型機初飛行はなんと1955(昭和30)年。翌年の実用化からすでに60年ものあいだ現役であり続けており、冷戦時代の生き証人ともいえる活躍の歴史は数々の伝説に彩られています。

 1960(昭和35)年には違法にソ連領空を侵犯しての偵察飛行中、地対空ミサイルによって撃墜され、パイロットのゲイリー・パワーズは脱出後ソ連に逮捕(軍人ではなかったので捕虜になる権利はなかった)される事件が発生。

 さらに1962(昭和37)年にはアメリカから目と鼻の先のキューバにおいて、ソ連の弾道ミサイル基地が建設中であることをつきとめ、米ソはあやうく全面核戦争の一歩手前まで緊張が高まりました。

 とはいえさすがに老朽機である事実は動かしがたく、本来2015年までにすべてのU-2Sは退役させられ、「グローバルホーク」に置き換えられる予定でした。しかしこれはキャンセルされ、2016年現在もなおアメリカ空軍とNASAでは、32機のU-2Sおよび練習機型TU-2S、地球観測機型ER-2が現役であり続けています。

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コメント

1件のコメント

  1. 映画ブリッジオブスパイでパワーズ事件がエピソードにあり、興味を持って劇場の帰りに世界の傑作機をポチった。
    パワーズ機は日本に関係した事件をやらかしていたのは、知らなかった。
    ググれば簡単に出てくるが、けっこう怖い事件だ。