地球を狭くしたふたり ジェットエンジン誕生80周年、その発明者とは

戦後、邂逅を果たしたふたりは…?

 1939(昭和14)年から1945(昭和20)年にわたる第二次世界大戦によって、ホイットルの祖国イギリスとオハインの祖国ドイツは戦争状態になりました。そののち、1966(昭和41)年に彼らふたりは初めて出会います。そしてオハインはホイットルにこう言います

「もしあなたが適切な予算にさえ恵まれていれば、私に6年は先んじていたことでしょう。もしイギリスの専門家たちがあなたのエンジンを理解する十分な見識があったならば、ヒトラーはイングランド上空を時速800kmで飛び回るイギリス空軍に勝てるとは思わず、第二次世界大戦は勃発しなかったでしょう」

 英独のジェット機はすぐには実用化されず、ある程度、技術的な問題に目途がたった1944(昭和19)年になってようやく、ドイツ空軍のメッサーシュミットMe262「シュヴァルベ」戦闘機、やや遅れてイギリス空軍のグロスター「ミーティア」戦闘機として結実します。

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ハンス・フォン・オハインは第二次大戦後、アメリカ空軍で研究職に就いた。写真は1970年代に撮影されたもの(写真出典:アメリカ空軍)。

 いずれも、第二次世界大戦の大勢がほぼ決した時期になって実用化されたことを考えれば、オハインの言葉が正しかったといえるかどうかは疑問です。しかし第二次世界大戦後、ジェットエンジンが飛行機の常識をすべて塗り替えてしまったことは事実です。

 いまや地球の裏側にまで気軽に旅行できるようになったのは、フランク・ホイットルとハンス・フォン・オハインの業績のおかげであり、彼らふたりはライト兄弟とともに、航空史における最も偉大な人物としてその名を残しています。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. V-1(Fi103)も最初期のジェット機だと思うのですよね。ターボジェットではなくパルスジェットの無人機(ミサイル)だけど。