月面探査レース、日本チーム「HAKUTO」の「その先」 進む民間企業の宇宙開発

ロケットはライバルと相乗り?

 HAKUTOはオフィシャルパートナーとしてKDDIを、そしてコーポレート・パートナーとしてIHI(石川島播磨重工業)、Zoff、JAL(日本航空)、リクルートテクノロジーズ、スズキ、セメダイン社を迎え、さまざまな技術提供を受けています。さらに2017年2月には、クラウドファンディングキャンペーンを開始、プロジェクトは順調に進んでいるように見えます。

 これまでのHAKUTOの探査車開発も順調でした。2011(平成23)年には「プロトタイプモデル1」が完成し、2012年、2013年とプロトタイプをバージョンアップ。2014年にはSORATOの現行デザインにもつながる、「プリフライトモデル1」が完成します。そして2015年までこのプリフライトモデルの完成度を高め、2016年8月には実際に打ち上げる「フライトモデル」のデザインが完成したのです。

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プリフライトモデルでHAKUTOのデザインの大枠が定まった(画像:HAKUTO)。

 しかし2016年、打ち上げに利用されるロケットの変更が急遽発表されます。当初HAKUTOはアストロボティック・テクノロジー社(アメリカ)が運営するチームのロケットに相乗りする予定でしたが、同チームは独自の宇宙開発を目指すとしてコンテストからのリタイヤを表明。HAKUTOのチームは別の打ち上げ方法を探さなければならなかったのです。

 そこで白羽の矢が立ったのが、インドの「Team Indus」。同チームはインド宇宙研究機関(ISRO)のPSLVロケットで着陸機(ランダー)と探査車を月面に送り込むのですが、HAKUTOは滑り込むような形でTeam IndusとPSLVロケットへの相乗り契約にこぎつけることができたのです。

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