クルマの自動運転と「運転の楽しさ」は両立するか マツダが出したひとつの答えとは(写真11枚)

その効果、86%減

 マツダの「第6世代商品群」と呼ばれる、「アクセラ」や「デミオ」など主力車種の現行モデルに使われているシャシーは、このペダル位置をすべて見直していると、池田利文 統合制御システム開発本部 電子開発部長は説明します。たとえば「デミオ」では、先代より前輪の位置が50mm前にレイアウトされているそうで、ほか「アテンザ」や「CX-5」などにおいても、前モデルに比べ50mmから80mmほど前輪が前へ移動しています。

 ここまでして作り出されたペダル配置の違いはほんの数十mmのものですが、その一見ささいに見える差が事故を防ぐことにつながるといいます。実際、公益財団法人交通事故総合分析センターの調べによると、2014年発売の4代目「デミオ」など現行モデルのクルマにおいて、ペダルの踏み間違い事故は前モデルに比べ実に86%も減少したそうです。

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ペダルレイアウトの新旧比較。右上のタイヤ位置がひとつのポイント。
高齢者疑似体験セット一式。高齢者が杖を必要とするのがよくわかる。
衝突被害軽減ブレーキなど「i-ACTIVSENSE」の体験も実施された(2017年4月9日、乗りものニュース編集部撮影)。

 今回の「安全取材会」では、高齢者の運転支援をひとつのテーマとしていましたが、もちろん「i-ACTIVSENSE」などの安全技術やペダル位置の見直しは、高齢者向けに特化したものというわけではありません。若年層から高齢層まで幅広い世代に向けた安全技術の、ひとつの切り口ということです。そしてそこにある、運転の楽しさを追求する「人馬一体」という考え方と、自動運転を含む安全技術の推進のあいだに、なんら矛盾はないようです。

 ちなみに取材会ののち、マツダの関係者も取材陣も「明日からジムに通おう」と口をそろえていました。疑似とはいえ高齢者の身体状態の体験は、やはり誰しも衝撃的だったようです。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. すごい会社だなあ