残りわずかYS-11、輸送機型が退役 貴重な飛ぶ姿をさらに貴重にしている理由とは?

機密のベールの向こうで現役稼働中の2機、その役割は?

 YS-11EAは「電子戦訓練機」と呼ばれ、レーダーなどを無効化(ジャミング)するといった電子戦の訓練を行う機種です。もう一方のYS-11EBは、そうした電子戦などを効率的に進めるために、平時から他国の電波情報を収集する「シギント」と呼ばれる任務を行う電子偵察機で、任務の性格上、他国の領空ギリギリにまで接近することもあり、2014年には中国軍のSu-27戦闘機に異常接近されたことで外交問題にもなりました。

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YS-11EB 電子偵察機、2014年入間基地航空祭にて。「コブ」の多い飛行機は総じて機密レベルが高く、本機が一般公開されることは望み薄(関 賢太郎撮影)。

 現代の戦闘はレーダーを中心とした「電子の戦い」ですから、これに従事するYS-11EAとYS-11EBは機体自体こそ旧式ながら、もっとも重要な任務をこなしているともいえるでしょう。

 YS-11EAとYS-11EBは、YS-11FC退役後もしばらく現役である見込みですが、その特性上、航空祭で展示されることは望み薄なので、YS-11FCが現役である今後何年かのうちに開催される入間基地航空祭が、現実的にYS-11の飛行する姿を楽しむことのできる最後のチャンスになります。入間基地は幸い都心からアクセスしやすい場所にあるので、興味のある人は国産の名機YS-11の雄姿を目に焼き付けに訪れてはいかがでしょうか。

【了】

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Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

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3件のコメント

  1. 全世界ではあと何機残っているんだろうか。そういえば海上保安庁の退役機が航空自衛隊機の部品取りに転用されたというが、誰も大騒ぎしなかった気がする。

  2. 生まれて初めて乗った旅客機がYS-11であった。羽田で空港の端っこまでバスで連れて行かれるのも楽しかったし、タラップで乗降するのも楽しかった。今と違って飛行機という物体の存在自体がとても近いところにあった気がする。

  3. 47年前に高松から羽田空港に乗り天気は雨 高度5千メートルめちゃくちゃ揺れみんな
    悲鳴をあげるていました 機内は丸く狭くCAさんとの 距離が凄く近くて バスみたい
    いい思い出です