【空から撮った鉄道】伊予鉄「坊ちゃん」の路面電車でデルタと十字クロスを捉える(写真10枚)

普通の鉄道と路面電車の両方を運営している伊予鉄道には、鉄道線路と路面電車の軌道が十字に交差するという珍しい場所があります。この交差部分を空から撮影してみました。

市街地を撮るなら「晴れ」より「曇り」

 四国の松山市を中心に公共交通ネットワークを展開している伊予鉄道は、鉄道線(郊外電車)と市内線(市内電車)を運営しています。市内線は夏目漱石の小説「坊ちゃん」に登場した路面電車で、鉄道線の線路と平面で交わる部分も。鉄道線路と路面電車の軌道が平面で交差するのは国内では伊予鉄道だけで、全国的にも稀有(けう)な存在です。

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伊予鉄道の鉄道線と市内線が十字に交差する大手町付近。鉄道と軌道の十字クロスはここでしか見ることができない(2013年4月、吉永陽一撮影)。

 伊予鉄は以前から空撮したかった鉄道です。それも郊外電車より市内電車、つまり路面電車を撮りたいと思っていました。

 私が暮らす東京は都電が1系統のみ走るだけですが、伊予鉄の市内電車は1、2、3、5、6の5系統があり、路線も松山城を取り囲むように伸びています。ということは、それぞれの系統が分かれる交差点で分岐の形状を観察できるのです。軌道の情景の変化も楽しめ、そして何よりも郊外電車との十字平面クロスが大変興味深い存在でした。

 今回一緒するパイロットは初めての人でしたが、普段は船の空撮をしているとのことで、追尾しながらの撮影は問題ありません。天気のコンディションは曇り。街中で軌道のディティールを上から撮影するにはベターな状況です。あまり晴れすぎると、街中の分岐部分や平面クロスが建物の影になるためです。

 ただ、遠景はスカッとした晴れの方がよくて……うーん、どちらかを取るかといえば、やはり軌道のほうですね。空から撮っているのに地上のことを気にするのも変な話ですが。

 松山市上空へ到達すると、市内電車は道路上を走行しているため、すぐに判別できます。市内中心部に軌道が張り巡らされており、中心となる松山市駅から系統順に撮影しようかとも思いましたが、おもだった駅(電停)と分岐点を中心に巡ることとしました。

道路の交差点で分かれる軌道

 まずは道後温泉駅です。過去に訪れたとき、道後温泉駅の先にある留置線が住宅地へと伸びており、線路脇は細い路地で、ちょうど夕方と相まって郷愁感誘う情景だったのが記憶に残っていました。駅だけでなく留置線と生活道も意識して、少々そのときの思い入れを意識しながら空撮します。

 ちなみにこの留置線、大正時代に廃止となった道後鉄道の軌道の名残でして、留置線の先に線路が二方向へ伸びていました。いまは住宅地となっていて、痕跡はほとんどなく、緩やかにカーブする生活道が廃線跡だそうです。

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道後温泉駅の全景(2013年4月、吉永陽一撮影)。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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