橋がないなら架けていく、陸自の「架橋装備」とは? 理論上は数kmの橋も!(写真20枚)
戦場はもちろん、地震などの災害時も含め、橋がないからといって立ち止まっていては、計画遂行に支障をきたしてしまいます。なければ架ける、というわけで、陸自の架橋装備を解説します。
東日本大震災でも活躍
2018年11月9日から11日までのスケジュールで、陸上自衛隊東北方面隊が主催する大規模実動演習「みちのくALERT(アラート)2018」が実施され、そのなかに92式浮橋の姿が見られました。名前が示すように、陸自が保有する架橋装備です。
東北方面隊は2011(平成23)年3月11日の東日本大震災において、自衛隊の災害派遣の中心として活動しましたが、その巨大津波によって太平洋岸の街が大きな被害を受け、橋や道路も寸断されました。道路は重機を使って瓦礫を除去すればなんとかなりましたが、橋の復旧にはもちろん時間がかかります。
しかし、陸上自衛隊は有事の際、必要な場所に迅速に橋を架けることが可能な装備を複数保有しており、前々からそれら架橋装備についても災害派遣で用いることを想定し訓練していました。その架橋装備を用い短時間で橋を架け、被災地救援に向かうことができたのです。
柱が特徴の81式自走架柱橋
陸上自衛隊が保有する架橋装備のなかで一番の古株、それが81式自走架柱橋です。7tトラック1両に2枚の橋桁(はしげた)が分割され重ねられて搭載されており、架橋する際はこれを水平に押し出しながら上下の橋桁を連結し、なおかつ畳んである橋柱を立てて川床に接地させる、という手順を踏んで、1両あたり10mの橋節(橋の1ユニット)を展開させます。これを何両も用意し、連続して架設し繋ぎ合わせていけば、橋柱が立つ限り理論上はどこまでも架橋可能です。また各橋節が自立する構造のため、後述する92式浮橋やパネル橋などと組み合わせて使うこともできます。ちなみに1セットは6両で60mぶんです。
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ただし川面に柱を立てる工法のため、水流や水量、水深、川床の状況(泥濘や傾斜など)を架橋する前に調査する必要があるのが難点です。加えて、通過最大重量が40tのため、90式戦車のような重量級車両は渡ることができません。
81式自走架柱橋は東日本大震災において、宮城県南三陸町戸倉地区や同東松島市の東名運河などで実際に用いられました。また今回の「みちのくALERT 2018」では、岩手県遠野市の早瀬川に第9施設大隊が訓練で架橋しました。
かつては70式自走浮橋という、自走して更に艀にもなる萌え車両がありました。
3両を横に繋ぐと74式戦車が載せられる性能でした。
平成初期の東京都の防災訓練でも出動し、避難民乗せて東京湾を走ってましたが、羨ましかったw
老朽化と河川敷から直接進入できる場所が減ったのが引退の理由のようでさびしくあります。