「平成」飛んだ翼退役=威信懸けた「時間厳守」-政府専用機、初任務から26年

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小泉純一郎首相(当時)を乗せ帰国した政府専用機。ドイツのシュレーダー首相(同)も同乗したため、両国の国旗が掲げられた=2002年6月、東京・羽田空港

 「空飛ぶ官邸」とも呼ばれる政府専用機が3月、平成の終わりと共に退役を迎える。1993(平成5)年から任務を開始し、首相や皇族を乗せて世界中を飛んだ。時に歴史的な瞬間を迎える舞台へと要人を運ぶ重責を担ったのは、パイロットから客室乗務員、整備員まで、すべて航空自衛隊員だ。常に心掛けたのは安全な航行に加え、日本が世界に誇る「正確さ」だった。

 明瀬時定3等空佐(44)は、着陸などの時間を管理するナビゲーターを務めた。民間の旅客機にはいない役割で、「分単位で動く総理の予定は変えられない」と重要性を語る。早く到着しそうな場合は、高度を変えてわざと向かい風を受けることもあるという。

 パイロットは民間旅客機では決して行わない連続離着陸(タッチアンドゴー)の訓練もする。発着時の振動を軽減させる技量を磨くためで、高い技術は海外からも評価されている。パイロットを務めていた滝島真之3佐(40)は「『なぜ、日本の政府専用機はあれほどきれいに着陸できるのか』と聞かれた」と胸を張る。

 客室乗務員に当たるロードマスターを9年間務めた女性空曹長は「民間と違い、スタッフは常に同じメンバーなので、あうんの呼吸が通じる」と話す。「乗客」の状況を観察し、あえて何もサービスをしないことがあるという。「VIPにとって休める時間は移動だけのこともある」と語る。

 政府専用機は2機あり、1機は不測の事態に備え予備機として同行する。2002、04年の小泉純一郎首相(当時)の訪朝時にも使用。拉致被害者家族5人は予備機で帰国した。

 要人以外が乗ることもある。16年にバングラデシュの首都ダッカで発生したテロ事件では、犠牲になった7人の邦人の遺体を帰国させた。同乗した山下健3佐(44)は「個人的な感情を出さないよう、冷静になるように努めた」と振り返った。

 退役する初代の後任として、ボーイング社の777-300ER型機をベースとする2代目の政府専用機が4月から運用を開始。引き続き空自が管理・運航を担当する。

 ◇政府専用機の歴史

1987年 導入決定

  93年 初の任務飛行。渡辺美智雄外相が訪米

      宮沢喜一首相が訪米

      天皇、皇后両陛下が欧州訪問

  94年 皇太子ご夫妻が中東訪問

2002年 ドイツのシュレーダー首相が小泉純一郎首相と同乗し訪日

      小泉首相が訪朝

  03年 イラクに支援物資を輸送

  04年 イラク特措法で初めて自衛隊派遣

      拉致被害者家族が北朝鮮から帰国

  07年 全面改修

  11年 ニュージーランド地震で国際緊急援助隊を輸送

  13年 アルジェリアの人質事件で犠牲となった在外邦人の遺体を輸送

  16年 バングラデシュのテロ事件で犠牲となった在外邦人遺体を輸送

  17年 天皇、皇后両陛下がベトナム、タイに

  19年 退役

(注)肩書は当時

【了】

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