政府強硬姿勢、一層鮮明に=対話退け土砂投入-辺野古移設

 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、政府は25日、玉城デニー知事が強く中止を求めていた新区画への土砂投入に踏み切り、強硬姿勢を一段と鮮明にした。対話による解決を探ってきた県は猛反発、対抗策を講じる構えで、対立は深刻化しそうだ。

 25日午後3時ごろ、ブルドーザーが辺野古沿岸部の護岸から新区画の海に土砂を押し流すと、程なく防衛省では岩屋毅防衛相が記者団の前に現れ、作業開始を発表。「辺野古移設が唯一の解決策だ。作業を一歩一歩進めたい」と強調した。

 沖縄県の謝花喜一郎副知事は記者団に、2月の県民投票に触れつつ「県民の理解は得られていない。工事を中止して対話を進めるのが民主国家のあるべき姿だ」と政府を批判。しかし、菅義偉官房長官は、仲井真弘多元知事による埋め立て承認を念頭に「県から許可をいただいている」と素っ気なく語った。

 対話を通じた解決は玉城氏の持論だ。玉城氏は環境整備を図ろうと、19日の安倍晋三首相との会談で、辺野古の岩礁破砕に関する訴訟の上告取り下げを指示したことを報告。たとえ1カ月間でも工事を中断すれば、検討中の新たな訴訟も思いとどまる考えを伝え、政府の軟化を促した。

 県関係者によると、首相は「1日考えたい」といったんは回答を留保したが、20日には事務方を通じて「工事は予定通り」と玉城氏に伝えた。会談の場では寄り添う姿勢を演出しつつ、「玉城氏が譲歩しない以上、協議しても意味がない」(防衛省幹部)と判断したとみられる。

 首相の回答を受け、玉城氏は22日に埋め立て承認をめぐる新たな訴訟を福岡高裁那覇支部に起こしており、法廷で徹底的に政府と対決。また、辺野古の海底で見つかった軟弱地盤の改良を承認しないなど、知事権限に基づくカードも使い切って、辺野古移設に抵抗する戦略を描いている。

 ただ、訴訟は時間がかかる上、政府が地盤改良を県に申請するのは早くて数カ月先。その間も埋め立て工事は進む。玉城氏の周辺では「既成事実が積み重なり、県民の間に諦め感が広がりかねない」(県政与党県議)との懸念が強まっている。

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