北陸新幹線浸水、観光に打撃=直通運転再開に期待-石川・富山

 台風19号の影響で120両の車両が浸水し、東京と金沢を結ぶ北陸新幹線の直通運転が中止されてから1週間が過ぎた。秋の行楽シーズンを迎えた石川、富山両県の宿泊施設には予約客からキャンセルが相次いだが、直通運転が25日に再開されることが決まった。地元観光業者は「本当に良かった」(金沢・兼六園内の食事処)と胸をなで下ろしているが、台風で全国に80人超の犠牲者が出ており、引き続き観光需要への影響を懸念する声も上がっている。

 「売り上げへの影響は先週末までに1000万円超」「今月は約500件のキャンセルが出るだろう」。金沢市内の複数のホテルの営業担当者は、想定外だった台風19号の余波に戸惑いを隠せない。直通運転の再開は決まったものの、富山駅前のビジネスホテルの支配人は「運行ダイヤが公表されておらず、入るべき出張予約は依然として入らない」と嘆く。

 2015年3月に開業した北陸新幹線は、乗り換えなしで東京-金沢を最短2時間28分、東京-富山を同2時間8分で結び、それまでの最短所要時間を1時間以上短縮。訪日外国人を含め首都圏から観光客を呼び込んだ。

 一方、開業から4年半の間に「新しいホテルも増え、競争は激しくなった。供給過多に陥っているかもしれない」(金沢市のホテル)とされる。それだけに、宿泊客の減少が業績に及ぼす影響は小さくないとみられる。

 兼六園の先週の入園者は前年同期比2~3割減少。日本有数の深いV字峡谷を縫うように走るトロッコ電車を運行する黒部峡谷鉄道(富山県黒部市)も、「18日までに約5200人のキャンセルが出た」と明かす。

 北陸新幹線について、谷本正憲石川県知事は「日本海側の大動脈」、石井隆一富山県知事は「ビジネス面でも観光面でも大事な大事なインフラだ」と強調する。ただ、直通運転が再開されても当面、運行本数は従来の9割にとどまり、全面復旧には至らない。

 また、「台風であれだけの被害が出て天皇即位祝賀パレードが延期された中、旅行に出掛けようという気になるのか」(ベニズワイガニを提供する富山県射水市の飲食店関係者)と、観光需要の回復には時間がかかるとの見方も出ている。

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