列車自動運転 普通に? JR九州が開発 既存線に低コスト導入可の自動運転システムとは

労働人口が減り、運転士確保が懸念されるなか、JR九州が「自動列車運転装置」を開発中。既存設備の活用により大きなインフラ投資が不要なことが特徴で、他社にも広がるかもしれません。ただ現状では、制度などに課題もあります。

JR九州の自動運転「既存路線に導入しやすい」が特徴

 列車の自動運転が2020年以降、より身近になっていくかもしれません。

 JR九州が2019年12月27日(金)から28日(土)にかけ、香椎線の香椎~西戸崎間(福岡市内)で、「自動列車運転装置による走行試験」を報道陣へ公開しました。

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自動列車運転装置によるJR九州 香椎線の試運転列車(2019年12月、恵 知仁撮影)。

 将来の労働者不足などを見込んで近年、首都圏の山手線や常磐線など、運転士が手動で走らせていた路線の自動運転化を進める動きがありますが、JR九州が開発している自動列車運転装置は、「大きなインフラ投資が不要(低コスト)」なのが特徴です。

 山手線や常磐線は、信号システム(保安装置)に「自動列車制御装置(ATC:Automatic Train Control)」を採用。これに「自動列車運転装置(ATO:Automatic Train Operation)」を導入し、あわせて使うことで、自動運転化を図ろうとしています。

 しかしATCは、新幹線でも使われるように高性能で、高い安全性を持ちますが、コストも高く、JR九州の在来線では採用されていません。

 JR九州の在来線で採用されている信号システムは、「ATS(Automatic Train Stop)」です。ざっくり言ってしまえば、「Control」と「Stop」の違いが表すような、文字通りの機能差があります。

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車両側の自動運転装置は乗務員室付近に収まり、それほど多くのスペースは必要としない(2019年12月、恵 知仁撮影)。

 ATSはJR九州ほか、多数のJR在来線で導入されている装置です(平成28年度鉄道統計年報によるとJR在来線の98.2%で導入)。

 こうしたATS使用路線にATCとATOを新たに導入して自動運転化を図ることは、地上設備や車両の改修などに、非常に多くのコストを要します。

 そこで既存のATSに、ATC並みの高い安全性を持たせられる自動列車運転装置(高機能型ATO)を組み合わせることで、自動運転を低コストで実現しようというのが、JR九州が開発しているシステムです(ATCほどの緻密な列車制御はできませんが)。

 JR九州の担当者によると、このたび香椎線で行われている試験の費用は開発費込み2億円(車両1編成6000万円、地上1.4億円)で、もしATSをATCに換装して自動運転をするとなると、そのコストは桁が違ってくるといいます。

自動運転列車のランカーブ(走行計画のようなもの)

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コメント

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1件のコメント

  1. 普通に画像処理の技術の方が進歩して
    カメラと民生用GPUで自動化するようになると思うが
    何れにせよ20年以内に運転士という仕事は無くなるな