「船の無人運航」実験へ 大きさ様々5プロジェクト 水陸バスも 実用化に道筋

船舶の無人運航に関する実証実験が動き出します。新日本海フェリーや商船三井フェリーの航路など、実際の航路での運航も実施するほか、小型船舶や水陸両用バスでの実験も行われます。

5つの無人運航プロジェクトが始動

 大小様々な船の無人運航の実現に向けたプロジェクトが動き出します。日本財団は2020年6月12日(金)、実証実験を行う5つのコンソーシアム(民間企業体)に対して支援を行うことを決定し、2021年度末まで各コンソーシアムによる実証実験を実施すると発表しました。

 実験されるプロジェクトは次の5つで、合計40以上の企業や団体が参画します。船舶交通が非常に多い海域「輻輳(ふくそう)海域」の航行や、長距離航行、大型船、また水陸両用車の無人運航実験は、世界初の試みとのことです。

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三菱造船が建造している新日本海フェリーの新造船イメージ。無人運航の実証実験に使われる(画像:新日本海フェリー)。

●スマートフェリーの開発
・概要:新日本海フェリーの敦賀~苫小牧航路で実験予定。離着岸を含む無人運航の実証に加え、機関部の故障予知なども目指す。三菱造船が建造中で、2021年6月末に完成予定の新日本海フェリー向け新造船へシステムを搭載し実証実験を行う。
・事業者:三菱造船、新日本海フェリー

●無人運航船@横須賀市猿島
・概要:横須賀市の三笠桟橋と猿島を結ぶ小型旅客船を実験船とし、既存の小型船を安く、早く無人運航化できる技術を開発する。広く小型船に適用可能な自動操船技術の実現を目指す。
・事業者:丸紅、トライアングル、三井E&S造船、横須賀市

●無人運航船の未来創造 ―多様な専門家で描くグランド・デザイン―
・概要:京浜港~苫小牧港間(予定)のコンテナ船を実験船とし、輻輳海域を含む自動運航システム、陸上支援システム、航行海域ごとに自動切り換えする通信回線システムまでを開発する。
・事業者:日本海洋科学、日本郵船、古野電気、日本無線、BEMAC、イコーズ、ジャパンマリンユナイテッドほか(計20社以上)

●内航コンテナ船とカーフェリーに拠る無人化技術実証実験
・概要:敦賀~境港間のコンテナ船と、大洗~苫小牧間のカーフェリーを実験船とする。自動避航、自動離着桟、自動係船、陸上支援技術も試行。
・事業者:商船三井、井本商運、井本船舶、MOLマリン、商船三井フェリー、セキド、古野電気、三井E&S造船

●水陸両用無人運転技術の開発 ―八ッ場(やんば)スマートモビリティプロジェクト―
・概要:群馬県の八ッ場あがつま湖(八ッ場ダム)で、水陸両用車の自動運航を、オープンソフトウェアを用いて開発。地上から入水し、水上を自動航行したのち、上陸して地上に戻る。
・事業者:ITbookホールディングス、エイビット、埼玉工業大学、長野原町、日本水陸両用車協会

【画像】5つの実証実験プロジェクト概要

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