「制宙権」争い激化=米ロ、7年ぶり宇宙安保協議―衛星攻撃実験で攻防

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トランプ米大統領(左)とプーチン・ロシア大統領(AFP時事)

 【ワシントン、モスクワ時事】米国とロシアは27日、宇宙空間の安全保障に関する協議をウィーンで行う。協議は2013年以来。米ロに中国を加えた3カ国の間では宇宙の軍事的支配権「制宙権」争いが激化。宇宙の軍事利用を制限する国際規範や協定が存在しない中、いかに激化する競争に歯止めをかけるかが課題となっており、7年ぶりとなる米ロ協議の内容に注目が集まる。

 ◇中ロ軍事化に警戒

 30年までの「宇宙強国」建設を掲げる中国に対し、米国は陸海空軍などに並ぶ宇宙軍を創設した。ロシアも今年に入り、立て続けに衛星攻撃兵器の実験を行っており、協議で米側はロシアに説明を求めるとみられる。

 「最も深刻かつ差し迫った脅威」。米国防総省は6月、今後10年間の宇宙戦略を記した文書の概要を公表し、中ロ両国による宇宙の軍事化に警戒感をあらわにした。

 情報収集から通信、精密誘導爆撃、ミサイル防衛に至るまで、米軍の活動のほとんどは衛星などの宇宙資産に依存している。中ロが開発を進める衛星攻撃兵器でこうした資産が無力化されれば、米軍の優位性が失われる。同文書は中ロ両国について「米軍が地域紛争に介入するのを防いだり、米軍の有効性を低下させたりするための手段として宇宙の軍事利用を行っている」と分析した。

 中ロは表立っては宇宙の平和利用を提唱し、国際的に軍事利用を制限する必要性を訴えてきた。しかし、中国は07年に衛星攻撃兵器の実験を行ったほか、電波妨害兵器やレーザー兵器、キラー衛星などさまざまな衛星攻撃兵器を開発している。

 ロシアは今月15日に地球周回軌道上にある「衛星」から物体を発射する実験を実施したが、米宇宙軍はこの「衛星」が17年にも同様に物体を発射していたことから、キラー衛星の可能性があると指摘。レイモンド宇宙軍司令官は「この実験により、衛星攻撃兵器の開発を中止する意図がないのは明確になった」と述べ、宇宙の平和利用に向けた呼び掛けを「偽善」と切って捨てた。

 ◇ロシアは反発

 一方、ロシア外務省は、物体は自国衛星を至近距離で検査するための装置であり、「メンテナンス状況に関する貴重な情報を収集した」とした上で、「実験は国際法の規範や原則に違反していない」と主張した。米側の指摘は「ロシアの宇宙活動をおとしめるためのキャンペーンだ」と反発しており、米ロ協議で何らかの進展が見られるかは不透明だ。

 米ロは続いて28~30日に核軍縮協議の作業部会を開催する。トランプ政権は、米ロに中国を加えた3カ国による軍縮体制構築を呼び掛けているが、核戦力で米ロに劣る中国は参加を拒否している。

【了】

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