日米戦艦対決「大和」対「アイオワ」世界“最強”戦艦の軍配は?
戦艦「大和」の弱点は?
1対1の場合、観測機での弾着観測の有無も大きく影響を及ぼします。「大和」は7機、「アイオワ」は3機を搭載できます。「大和」の零式観測機は空戦能力を有しますが、「アイオワ」のOS2U観測機にはその能力はありません。新型のSC「シーホーク」観測機は空戦できますが、「大和」には、空戦・弾着観測・爆撃が可能な、より新型の水上偵察機「瑞雲」も搭載できるため、弾着観測は「大和」が独占するでしょう。観測機は両者の砲戦距離の中間、高度7000mあたりから観測するので、「アイオワ」の高角砲(高射砲)では届きません。
また、「大和」の徹甲弾は水中弾がやや発生しやすく、手前に落ちた主砲弾も有効弾になる可能性があります。こうした理由から、両艦の命中率は大差ないといえるでしょう。
ちなみに、「アイオワ」の主砲射撃は30秒間隔で行うことが可能な一方、「大和」は40秒間隔で、射撃速度の点で「アイオワ」が有利といわれることもあります。「大和」の約40秒は最大射程の場合で、例えば砲の上げ下げが少ない3万mなら、34秒前後で発砲できます。そして、「大和」の場合、射程3万mでは発砲から弾着まで約50秒かかります。「アイオワ」は初速が「大和」より遅いので、弾着まではより時間を要します。結局、修正を考えれば1分に1発くらいしか発砲できないため、一概に「アイオワ」有利とも言い切れません。
なお、「大和」は副砲塔の防御が弱いといわれることもありますが、そこは弱点ではないと筆者(安藤昌季:乗りものライター)は考えます。「アイオワ」の主砲弾は3万mでは落下角度35度で落ちてきますが、副砲塔に35度で砲弾が当たっても、砲塔を破壊するだけで、弾薬庫に弾は入りません。副砲塔の支柱の根元に主砲弾が命中した場合のみ、弱点となりますが、同様な防御配置をした日本重巡は弾薬庫への注水で誘爆は起きていませんので、問題はないと考えます。
むしろ「大和」の弱点は第1および第3主砲塔の手前です。主砲弾薬庫を守る装甲が340mmと薄く、かつ、敵弾に水平になる角度で傾斜しているので、命中すれば轟沈する可能性があります。ただ、ここも反航戦以外では当たることはないでしょう。
結論として、「大和」対「アイオワ」は、「大和」に軍配が上がると筆者は考えます。
【了】
※一部修正しました(2月13日12時15分)。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
過去何度もこのテーマの議論を本などで読んできたか、もっと高い説得力を持つ記事。
いつも「大和vsアイオワ」で指摘されるレーダー技術・速力・副砲塔周りの低装甲の全てに触れつつ、それぞれ実戦を想定したいわば“実能力”に基づいて予測している。
結局、大和の本当のライバルは未建造に終わったモンタナ級だったということかな。
「レーダー射撃」という字面が「先進的な米軍」をイメージさせるのでしょうねえ
工学に疎い人ほど、新しい技術を妄信している気がします
3Dプリンターなら立体物に関して何でもできる。みたいな
当時のレーダー射撃はイメージするほど立派なものかと言われれば
基本的に後付けシステムであったため、測距儀のようにオンラインで
GFCSに組み込まれているわけではなくレーダーの表示を人間が
方位盤にデータを手入力するという方法だったし
原理的に測距儀と比べ方位の精度が低く、当然レーダー単体では的速と針路の算定も甘い
大和型戦艦の15m測距儀クラスになると30kmで平均中心誤差が185mだから、
30kmまで大和型の光学照準の方が距離精度も上になるとかいろいろ問題があります。
遠距離でも距離誤差が広がらない利点は近距離でも精度が上がらないとも言えますね。
そもそも砲戦全体の話にするなら
初速の遅い弾丸は目標の予想位置の誤差の影響大きく出るじゃんとか、
日本側の方位盤の方が細かな諸元が入れられて理論的に計算精度良好とか、
狙ったところに砲弾が落ちてないから散布界広いんだろとか、
砲のプラットフォームとして安定してないとか、
レーダーではどうしようもない種類の課題が山積みなのですが
「レーダー射撃だから」で全部覆せると思うのは甘いというか、何というか
当時のレーダーでも着弾した水柱の位置はわかるようです。
私がアイオワ艦長なら高速性を生かして大和を近づけず遠距離からレーダー射撃。
名中弾を与えて構造物を破壊し、火災を起こした時点で接近して仕留めますね。
やはり高速性とレーダー射撃が大きい。
32km以遠を保てば、「アイオワ」の主砲弾は大和の水平装甲を貫通できますが、そんな遠距離ではほぼ命中しませんし、「大和」の主砲弾はその距離でも「アイオワ」の装甲を貫通します。
とのことだが、その文面だと大和の砲撃なら32キロ先でも当たるかのような言い草だな。
大和も32キロ離れたらまず当たらんだろう。
いつも無理のある主張ご苦労様です。そもそも32キロ以内で戦えばアイオワの主砲は15キロ切るまで大和の側舷装甲に通用しません。当時の主砲の有効射程20キロ近辺で、大和はどこに当ててもアイオワの装甲を抜くがアイオワは何処に当てても大和の装甲を抜けない。この時点で勝負になりません。アイオワの唯一の勝機はスーパーヘビーシェル弾を25キロ以遠で、大和の甲板装甲の最も薄い部分に当てた時、被害を与える可能性がある事ぐらい。が、これも致命部では無いので致命傷は無理です。所詮高速戦艦のアイオワに大和相手は無理です。2倍の速力を出すには8倍の機関出力が必要で巨大な機関室を守る面積の大きい装甲は薄くても大半重くなる。
英語圏では大和型は約31.6kmの距離でホワイト・プレーンズを第3斉射で夾叉したと考えられています。
日本では他戦艦の射撃であるという見解もありますが、
いずれにしろホワイト・プレーンズは執拗に夾叉を受け続けたことが記録されているため
日本戦艦が射距離30km付近で交戦の意思なく回避運動する艦船に
命中弾を出せる能力を有していたことは疑いようがなく
夾叉が命中にならなかったのは運でしかありません
誤解している人もいますが艦砲射撃には敵味方の位置、弾丸到達時の予測位置
気象条件、緯度、狙った位置に弾丸を落とせるかの射撃精度などさまざまな要素があるので
当時のレーダーの性能差は他の要素であっさり覆る程度のものでしかないです。
そもそも、大和の射程が42㎞とか言っても、そんな長距離を最初から当てられるわけはない。何回か、試し撃ちをして、最終的に当たればいいよねというレベル。最初から当たるのはミサイルだけ。これは、大和だろうが、アイオワだろうが、現代の艦艇でも同じ。現代の艦艇で違うのは、観測がレーダーだけじゃなくなったということくらいだろう。
それにこの記事の趣旨には大きく反するとは承知しているが、対水上戦をやるときに単独でやり合うということはあり得ない。仲間の船と袋叩きにするのが船の戦い方だ。
よく比較されるのは同型艦の数でアイオワが勝つと言われてしまいがちですよね。
アイオワは4隻、大和は2隻ですから。
こっちはちょっとおまけしてもらって長門と陸奥を入れて4対4にしたらどうなるんだろうと思います。
あとは同型艦での縛りなら金剛型の4姉妹とも比較できたらどうなるのかなと思いますね。
金剛型は古いながらも俊足の持ち主だと聞いてますし…
”新の最強”の定義が問題ですね。
第2次世界大戦で戦艦が時代遅れになった時代背景を考慮しない”新の最強”議論は、ただのファンタジーです。
確かに2隻が撃ち合えば、攻撃力・防除力に勝る大和が強いと思いますが、これは大艦巨砲主義と言う既に時代遅れのなったコンセプト上での話です。
時代は高速空母を機動部隊です。速力の早いアイオワ級は湾岸戦争まで対応が出来ましたが、空母に随伴できない」大和は大和ホテルや武蔵旅館と呼ばれ活躍する場がありませんでした。
その結果、沖縄特攻と言う愚策による悲劇が生まれました。
”優秀な戦艦”と言う点では、明らかにアイオワ級に軍配が上がります。
軍艦の評価は、勝つためのどれだけ貢献したかです(建造目的)。
一部の性能の優秀なところを探して、活躍できなかった戦艦を”真の最強”とするのはファンタジーとしか思えません。