飛行機の「眉毛窓」なぜ必要? 旅客機はほぼ消滅、軍用機では健在なワケ

ひと昔前の旅客機には必ずといっていいほどあった「アイブロウ・ウインドウ」ですが、近年はほとんど見かけなくなりました。一方、軍用機ではいまだ必要な場合も。しかも、旅客機とは違う使われ方をしているようです。

斜め上の視界、なぜ必要?

 ボーイング737など、古くから長期間生産されている旅客機には、かつてコックピット上部に小さな窓がついているモデルが存在しました。

 飛行機の前部を顔に見立てた場合、目にあたるコックピット窓の上にあることから、俗に「アイブロウ・ウインドウ(まゆげ窓)」などと呼ばれたこの小窓、実はかつて飛行に欠かせない役割を担っていたのです。

 アイブロウ・ウインドウは、操縦席から見て斜め上の視界を確保するために設けられています。通常の操縦では正面が見えれば十分なのですが、なぜ斜め上を見る必要があるのでしょうか。それは「星」を見るためでした。

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C-17輸送機のアイブロウ・ウインドウ(画像:アメリカ空軍)。

 いまでこそGPSや、慣性航法装置(INS)、地上からの電波による航法支援施設が充実していますが、それらがなかった時代は窓から見えるものを計測して自機位置を推し測る必要がありました。

 しかし、地上の地形から飛んでいる場所を確認することのできない洋上や、夜間における飛行では、太陽や星の見え方によって自機の位置を算出する「天測航法」に頼ることになります。なお、これは船でも使われていた方法で、飛行機ではコックピットに専門の航法士が乗り組み、取るべき針路をパイロットに助言していました。

 やがて技術が進歩し、航法についても自動化が進みパイロットのみで対応できるようになったことで、専門職である航法士がコックピットに乗り組むことはなくなりました。現在ではGPSによる航法が主流となっており、星と人工衛星の違いはありますが、再び「上空から得られる情報」によって飛行する時代となっています。

 これにともない、旅客機からアイブロウ・ウインドウが姿を消しました。

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