「空飛ぶ戦車」=「最強!」とはならず 「空挺戦車」がいまいちパッとしなかったワケ “軽さ”は別に活かされた

輸送機などで兵員を輸送し降下させる空挺部隊は登場以来、数々の奇襲攻撃などで活躍してきました。ときには戦車も空から降下させますが、なぜ「空から戦車」という手法が編み出されたのでしょうか。

空挺部隊の弱点を補うための戦車

 敵の背後に空から降下し、不意を突き、瞬く間に拠点を制圧――飛行機やヘリコプターを使って兵員を運ぶ「空挺部隊」は、広範囲での作戦行動が可能で、奇襲効果も高いのが特徴です。ただ、兵士がそのまま降下する制約上、その装備には制約があります。

 とはいえ、小さな携行火器しか使えないと、敵の地上部隊と正面から戦闘するにはかなり不利です。そこで過去には空挺部隊と一緒に戦車を運んで、一気に問題を解決しようと、「空挺戦車」なるものが考え出されました。

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M551「シェリダン」(画像:アメリカ陸軍)。

 空挺作戦が頻繁に行われるようになった第二次世界大戦序盤、降下手段はパラシュートしかなく、10t以下の比較的軽い戦車でも降下させることは不可能でした。

 しかし、軍用グライダーという解決策が大戦中に考えられます。イギリス軍はノルマンディー上陸作戦をはじめ大戦後半での反攻作戦で、大型軍用グライダー「ハミルカー Mk I」を運用しますが、これに、少数ながらMk.VII「テトラーク」軽戦車を搭載し、作戦に使用しました。

 戦後の冷戦期には、大規模な空挺作戦で相手の背後を攪乱するのが重要な戦略と考えられ、特にアメリカで空挺戦車の開発が活発になりました。

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