車内にちゃぶ台 空きホーム活用、駅と通勤電車を酒場に 京阪

「ホーム酒場」は中之島駅だからできた?

 中之島駅がある京阪中之島線が開業したのは2008(平成20)年10月19日と、比較的最近です。しかしこの中之島線、当初は1日12万3000人の利用が想定されていましたが、実際は低迷。開業初年度は2万5618人で、近年は沿線の活性化が進むなどし増加傾向が見られるものの、2014年度は3万1334人といまだ想定とは乖離(かいり)しています(数字は各駅乗降人員の合計)。また開業当初は日中、1時間に8本設定されていた列車本数が現在は6本になるなど、ダイヤにもそうした状況が現れています。

 また今回、「中之島駅ホーム酒場」がオープンしたのは同駅の3番線ですが、それら背景からこの3番線は通常、ほとんど使う必要がない状況です。うがった見方をすれば、先述した背景のなか、そうしたホームがあるからこそ、中之島駅でこうしたイベントが開催できた面がある、といえるかもしれません。

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中之島駅の3番線は改札口を通らずアクセスできる構造になっており、その点も中之島駅が会場に適している理由という(2016年6月22日、恵 知仁撮影)。

 想定と実態が合わないのは近年、大阪市営地下鉄の今里筋線や名古屋市内を走るあおなみ線など、そう珍しいことではありません。しかし、そうなった理由はさておき、現状を踏まえた何らかの対策は必要です。

 京阪中之島線でも沿線の活性化が行われているほか、他社線と接続できる西九条や「USJ」のある桜島方面への延伸、神戸へつながる阪神線との直通運転などが考えられており、また新大阪駅と難波方面を結ぶなにわ筋線が開業すれば中之島駅が接続駅になり、同駅がにぎわう可能性もあります。しかしそれらの実現は、時間やコストから容易でないのはいうまでもないでしょう。

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通勤電車の車内にはいろりコーナーも(2016年6月22日、恵 知仁撮影)。

 そうしたなか今回の「中之島駅ホーム酒場」は、“現状を活用した活性化策”といえそうです。

「こうしたイベントなどをきっかけに中之島へ来ていただき、その魅力を知っていただければと思います」(京阪ホールディングス、吉城さん)

 中之島駅は地下で視覚的に目立たないこともあり、意外と認知されていないといいます。

「中之島駅ホーム酒場」の開催は6月25日(土)までの4日間、17時から21時30分まで。ただし最終入場は21時で、25日(土)は14時からの営業です。1人1000円の入場料(子ども料金なし)が必要ですが、1000円分の飲食チケットが付属します。乗車券や駅への入場券は不要です(混雑時は入場制限を実施)。

 また今後の予定は未定ながら、再び実施する可能性もあるとのこと。京阪ホールディングスの吉城さんは「いろいろ面白いことをしていきたいと考えておりますので、皆さまにはぜひ楽しい時間を過ごしていただき、京阪電車のファンになっていただけたら」と話しています。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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