「阪神高速リニューアルプロジェクト」100年先も安心して利用できる高速道路を!〈PR〉
阪神高速の14号松原線喜連瓜破付近及び16号大阪港線阿波座付近のリニューアルプロジェクトが完了しました。阪神高速道路は「長期にわたる工事へのご理解とご協力ありがとうございました。100年先も安心して利用できる高速道路を目指して、これからもリニューアルプロジェクトを推進していきます」とコメント。本記事では、プロジェクトの経過と今後の展望について紹介します。
約2年の車線規制を経て約4か月繰り上げて完了した「阿波座」の工事
2024年、阪神高速では2つの「リニューアルプロジェクト」が、完了を迎えました。
まず2024年5月26日に終日車線規制が解除されたのが、16号大阪港線「阿波座」付近で行われた工事です。
同地点では慢性的な渋滞が発生していたことから、1997年に従来の3車線を4車線に拡幅する工事を実施しました。その際、拡幅に必要な橋脚の位置の制約から、従来の橋脚とは別の位置に新たな橋脚を作り、拡幅桁を支える構造とし、既設桁と拡幅桁とは構造的に連結せず、ゴム製の伸縮装置(縦目地)で路面を連続化していました。
しかし、この構造は走行性への影響や一部区間では想定外の路面の損傷や異常音の発生につながることがわかりました。そこで抜本的な対策として、従来の橋脚を横方向に延長して拡幅桁の支点として追加するとともに、拡幅桁を架け替えて既設桁と一体化する改修工事を実施したのです。
工事による車線規制は2022年6月に始まり、同区間は終日左側1車線が規制されました。この車線規制は当初2024年秋までを予定していましたが、工期の短縮により、約4か月繰り上げての規制解除となりました。
交差点の交通を止めずに空中解体! 地元の理解を得て約4か月の前倒しが実現した「喜連瓜破」の工事
続いて12月7日に終日通行止めが解除されたのが、14号松原線「喜連瓜破」付近の工事です。
この区間は1979年の建設時、片側4車線の「長居公園通」をまたぐために必要な橋長を確保するため、中央にヒンジ部(つなぎ目)を設けたコンクリート橋を採用しました。しかし経年により、このヒンジ部に設計時の想定を上回る“垂れ下がり”が発生したため、走行の快適性の向上、長期間にわたる安全性の確保などを目的に、鋼製の橋に架け替えることとなり、2022年6月に工事が始まりました。
交通量の多い交差点上での工事であり、交差点の通行を極力確保しながら架け替えを行う難易度の高い工事でしたが、こちらも当初予定の2025年3月までという工事期間の見込みを大きく短縮して通行再開が実現しました。
国と道路事業者で推進 「道路の老朽化対策」は待ったなし!
これらの工事は、2012年に発生した「中央道笹子トンネル天井板崩落事故」をきっかけとして、国および各高速道路事業者を挙げての本格的な取り組みが始まった「道路の老朽化対策」の一環として、推し進められていたものです。阪神高速では2015年から「高速道路リニューアルプロジェクト」として推進しています。
阪神高速が供用する高速道路の延長は258.1kmです。このうち開通から40年以上が経過した道路が50%以上(2024年3月31日現在)となっており、さらに10年後の2033年度末には、60%以上になります。また、大型車の利用が一般道路より多く、構造物にとって過酷な状況となっています。
その影響により、橋梁(きょうりょう)部材の疲労亀裂などの重大な損傷が大きくなっています。
阪神高速ではこうした変状について、日常管理により安全を確保していますが、問題の根本的な解決のために前述したような通行止め等を伴うリニューアルプロジェクトを進めています。
阪神高速が実施する「大規模更新」と「大規模修繕」は何が違う?
阪神高速が行うこれらの工事は「大規模更新」と「大規模修繕」に位置づけられています。
大規模更新事業は「造り替え」に相当するもの。老朽化に伴う重大な損傷が顕在化し、繰り返し補修を行っても改善が期待できない箇所について、最新の基準に基づき構造物の全体的な取り替えなどを行い、必要水準まで性能を引き上げます。
計約5kmが大規模更新の対象に選定されており、前述の「14号松原線 喜連瓜破付近」の工事もこれに含まれます。
大規模修繕事業は、主要構造を全体的に補修、補強することで、構造物全体の造り替えに相当するレベルで機能、性能の引き上げを行うものです。こちらは4号湾岸線、11号池田線ほか、延長約86kmで実施されており、前述の「16号大阪港線 阿波座付近」も含まれます。もっとも阿波座の工事は、拡幅桁の取り換えを伴う大規模修繕のなかでも大きなプロジェクトでした。
今後どのような大規模更新と大規模修繕が実施される?
では今後、どのような大規模更新、大規模修繕が行われていくのでしょうか。
大規模更新事業は前述の「14号松原線喜連瓜破付近」の他に、「3号神戸線の湊川付近」では、上部工の負荷軽減を目的とした中間橋脚を設置しており、上部工工事に向けた検討をしているところです。また、「15号堺線の湊町付近」では腐食が進んだ地下の軽量基礎構造の維持管理・耐震性の確保が可能な構造への更新が進んでいます。
一方、大規模修繕事業は、2024年3月に新たに22kmが追加され、なかでも大きなものとなるのが、「32号新神戸トンネル」の舗装の取り替えでしょう。
トンネル内や勾配区間では一般的に、高耐久のコンクリート舗装が採用されることがありますが、「新神戸トンネル」では開通から半世紀を経て、コンクリート舗装でもひび割れが進行。取り替えが必要な時期になっています。
このほか、大規模修繕は「阿波座JCT」での鋼製高欄の取り替え、「5号湾岸線深江浜付近」での鋼床板の剛性向上などの事業も追加されています。
これらの事業はそれぞれ長期にわたるもので、大規模な交通規制等を伴うケースが生じる可能性もあります。しかし、完工時には阪神高速がより快適な道路となり、その安全性がいっそう向上することとなります。
いざ「万博」 阪神高速はどんな姿で迎えるのか?
さて、「喜連瓜破」の大規模更新、「阿波座付近」の大規模修繕工事は、いずれも予定を前倒しして、大阪・関西万博開幕までに交通規制を終えています。
これらの工事では、事前に立てた綿密な計画に加え、現場では工期短縮の工夫を柔軟に取り入れてきました。その際、近隣住民などと意思疎通を図り、騒音を抑えたうえで夜間の工事を実施するなどして、実際に工期を短縮できたといいます。前倒しの通行再開や規制解除は、地元の方々のご理解があってこそかなったことなのです。
なお、リニューアルプロジェクトではありませんが、大阪・関西万博に向けては、万博会場に一番近い駐車場の最寄り出口となる「5号湾岸線 湾岸舞洲出口」の付近の拡幅、また近接する「天保山JCT」の渡り線(16号大阪港線→5号湾岸線)の2車線化なども2024年のうちに実施しました。万博で増加する交通に向けて、ボトルネックとなりうる部分へあらかじめ対策を行っています。
加えて、現在大阪市とともに「淀川左岸線(2期)」の暫定整備も実施されており、万博会場への交通手段となるシャトルバスなどのアクセスルートに活用するのです。
「100年先も安全・安心・快適にご利用いただくため」今後も引き続きリニューアルプロジェクトを実施
「100年先も安全・安心・快適にご利用いただくために、今後もなるべく交通影響を軽減できる方法でリニューアルプロジェクトを継続していきます。阪神高速を走行いただくすべてのお客さまに、安全・安心・快適に走行できることを実感いただけるようにします」と、阪神高速道路の担当者も意気込みます。
どの工事も、利用者が安全に通行できるようにするためのもの。阿波座、喜連瓜破付近での工事と同様、今後も実施するリニューアル工事の円滑化には地元の方をはじめ、多くの方々の理解が欠かせません。
【了】