LRTを日本で普及させるには? 固定観念から脱却しよう!

ヨーロッパの多くの都市では、LRTが街中を颯爽と走行する風景が当たり前です。アメリカや中国、東南アジアでもLRTの普及が進んでいます。どうして日本では普及が進まないのでしょうか。普及させるために固定観念から脱却することを提案します。

LRTはどうして日本では普及が進まない?

「LRT」とは「Light Rail Transit」の略で、よく「次世代型路面電車」と称されます。日本に19ある路面電車事業者のうち、富山ライトレールのみが「LRT」と呼ばれます。旧来の鉄道インフラを活用しつつ道路上にも線路を1km新設し、まちづくりと連携して整備した点が評価されています。

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2006年に開業した富山ライトレール(画像提供:富山ライトレール)

 LRTは世界各所で普及し、日本でも普及が期待されながら、富山ライトレール以外は実現せず、ようやく宇都宮での計画が進んできたところです。

 その理由は、海外では公共交通に独立採算が求められず、運営費にまで税金が投じられるのに対し、日本では初期投資には税金を投じても、運営は独立採算を求めるからです。

 しかし私(阿部 等)は、日本においても運営費にまで税金を投じてLRTを普及させることに反対です。なぜなら、それは事業者のイノベーションや顧客志向の意思を削ぐ、いわゆるモラルハザードを招くからです。

 現にヨーロッパのLRTは、最先端のテクノロジーは活用されておらず、徹底的に顧客志向を追及しているとはいえません。ストラスブールなどへ行く日本の視察団は、素晴らしい点ばかりを見て、改めるべき点になかなか目が行きません。

 適切な運行管理はされておらず、ダンゴ運転が日常茶飯事です。マイカーに負けない徹底的なスピードアップも追及されていません。

 日本の視察団の多くは、街のシンボルとなるお洒落でバリアフリーな電車という、華やかな点ばかりに目が行き、交通サービスとしての基本的能力が不充分な点に気付かずに帰ってきます。

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コメント

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5件のコメント

  1. LRTが普及しないのは、各種費用もろもろもそうだが、それ以上に、「車の渋滞が激しくなる」と言って反対する人が多い。だから、日本では、普及しないのでは。

    車優先の社会だから。宇都宮市でも、それが理由で、反対する人が多い。

  2. LRTが普及すれば高齢者の軽自動車やミニバンの利用を減らすことができます。渋滞や事故の削減に役立つことは間違いありません。

    今後、日本中で確実に増加する交通過疎地域の対策にもなります。LRT無しの高齢化対策は厳しいものになるでしょう。

  3. 日本では未だに70年代のチンチン電車のイメージでしか路面電車を見ていないので、
    従来から路面電車がある都市以外ではなかなか難しいでしょうね

  4. 日本だと公営の鉄道事業で赤字出すと叩かれるからね
    道路を提供して赤字なのはいいのに公営の鉄道がちょっとやそっとでも赤字出すと思いっきり叩かれる
    住民に対するサービスと活性化促進のために赤字でも需要が見込める地域ならやるべき

  5. 少子高齢化に伴って、公共交通は運転士の人手不足という深刻な問題で、
    実際に路線バスでは運行本数の削減といったような弊害が出始めてしまっている。
    特に、京都では外国人観光客の増加も加わって定時性が損なわれ、人手不足もあってか委託していた京阪やJRバスの撤退が現実のものとなっている。京都が地下鉄ありきで市電を廃止したツケが今になって出始めている。少しでも残っていればLRT化はいくらか進めやすかったことを考えれば、惜しまれる。
    そういう意味で、今後の少子高齢化社会を支えるインフラに資するかどうかが、宇都宮ライトレールの成否にかかってくると思う。