消える日本船の世界一周 国際情勢に揺れるクルーズ船

世界で話題になった日本人の世界一周クルーズ好き。にも関わらずいま、日本籍船による世界一周クルーズが途絶えようとしています。その背景には“世界の動き”を受けたコース設定の難しさがありました。

対し気を吐くピースボート 世界一周用の新造船計画も

 こうしたなか日本で唯一、世界一周クルーズを続けているのが、外国籍船をチャーターし催行しているピースボートです。

 彼らは毎年、季節に合わせて北半球、南半球、それにスエズ運河を通るほぼ100日間の地球一周クルーズを年に3回、催行しています。スエズ運河へ至るインド洋では、日本の自衛隊やNATO軍の警備を受けながらの航行ですが、「マスメディアで報じられるほど、エジプトや地中海の治安は悪くない」(ピースボート)としており、2016年も例年通り3回の地球一周を催行する予定です。

 またピースボートはそれどころか、高齢化している現在の投入船「オーシャンドリーム」を世界一周用の新造船へ切り替える構想を進めているところです。2020年の完成を目指し、船の建造資金を調達するためのファイナンシアとの交渉や、発注候補となっているドイツの造船所との交渉が大詰めに差し掛かっているといいます。

 このように各社の動きには違いがあるものの、ついに日本国籍のクルーズ船が世界一周を実施しないことが確定した2016年。世界の治安と政治情勢が不安定さを増すなかで、“熟年世代の夢の旅”もいま、大きな岐路に差し掛かっているのかもしれません。

【了】

Writer:

1949年生まれ。業界紙を経て1980年、海事プレス社へ入社。1989年、雑誌『CRUISE』創刊に参画し、翌年から編集長。2008年、海事プレス社の社長へ就任。2012年退任。この間、取材、プライベートを含め35隻の客船に乗船して延べ55カ国を訪問。地方自治体や業界団体主催の講演会などに多数出席。

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