消える日本船の世界一周 国際情勢に揺れるクルーズ船

世界で話題になった日本人の世界一周クルーズ好き。にも関わらずいま、日本籍船による世界一周クルーズが途絶えようとしています。その背景には“世界の動き”を受けたコース設定の難しさがありました。

20周年を前に途絶える世界一周クルーズ

 郵船クルーズが日本におけるクルーズブームの先駆けとして、1996(平成8)年から毎年行ってきた「世界一周クルーズ」が今年2015年で、20周年を前に途絶えます。そしてこれにより来年2016年、日本籍船での世界一周クルーズが行われないことが確定しました。

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全長241m、全幅29.6m、5万142総トンの「飛鳥II」。乗客数は872人、乗組員は約470人(写真出典:photolibrary)。

 郵船クルーズの「飛鳥II」は今年12月10日(木)に横浜港を出発し、100日間のワールドクルーズに旅立ちます。例年、春先には必ず世界一周クルーズに出ていましたが、今年は出発時期を早め、東へ向かうのでなく太平洋を南下。タヒチ、イースター島など南太平洋を経て途中、南極半島に近接し、さらにリオのカーニバルを見物、パナマ運河を渡って日本へ戻るという南米一周のコース設定です。

 郵船クルーズが初代「飛鳥」で初めて「世界一周クルーズに旅立つ」と発表した際には、発表と同時に定員の2倍を超える申し込みが殺到。乗り切れなかった人のため、1997(平成9)年にもまったく同じコースで催行したほど人気が沸騰しました。

 そして「夢の旅が始まる」というコピーに誘われ、一気に“熟年世代の憧れの旅”という評判が定着。このあと2004(平成16)年に今年のような南極クルーズの形になったほかは2015年春まで毎年続けられ、「世界一周クルーズ」は日本のクルーズ最大のヒット商品になります。

 さらに「にっぽん丸」「ぱしふぃっくびいなす」といったほかの日本船も、これに追随。“日本人の世界一周クルーズ好き”が、世界のクルーズ業界において話題になるほどでした。世界中で1年に20隻を超える客船がワールドクルーズを実施するという“ロングクルーズブーム”を創り出したこともあったほどです。

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