2021年3月で廃止のバス路線まとめ【西日本】 変化大きい京阪神の北 市営由来の路線苦境

「ベタ踏み坂」を行くバス廃止 ローカル路線や観光路線にもその波が

 今回のダイヤ改正では、新型コロナウィルスの感染拡大による影響も各所に見られます。観光客の減少などが直接の原因となって路線を整理するケースもあれば、思わぬ形で煽りを受けるケースもあります。

●一畑バス「松江境港シャトルバス」
・廃止区間:松江駅前~境港駅前

 島根県と鳥取県にまたがる湖「中海」に架かる「ベタ踏み坂」こと江島大橋を渡るこの路線も、3月をもって廃止となります。橋の東側の鳥取県境港市は、故水木しげるさんの出身地として知られ、「鬼太郎ロード」をはじめとする観光資源が豊富です。この境港と島根県松江市を周遊するうえでバスは重要なルートでしたが、緊急事態宣言後は観光客数が大幅に減少し、路線の維持が困難になりました。なお米子鬼太郎空港から松江市内へ向かう空港シャトルバスは変わらず運行されるほか、JR境港線や境港市内の多くの路線バスも空港を経由しています。

●伊予鉄バス「河中線」(73系統)、立岩線、丹波線(14系統)・五明線(70系統、71系統)
・廃止区間:松山市駅~米野々(河中線)、北条~庄府・小山田(立岩線。難波経由含む)、松山市駅~森松~丹波(丹波線)、伊台~城山・野外活動センター、伊台~向陽第一公園前、道後平入口~南白水三丁目(以上、五明線。部分廃止)

 松山市を中心に事業を運営する伊予鉄バスは、一挙に4路線の廃止(うち1路線は区間廃止)を発表しました。各路線とも市東部の山脈に分け入る系統で、全体の減収の影響を、こうしたローカル路線が受けた形となります。

 山あいにある河中線の終点では、かつて多くの地域で見られたバスの停泊運用施設(運転手の宿泊施設)の名残りも見られます。道路事情が良くなかった頃は、地域の人々が市街地に出るため、泊まり込みで早朝便を運行しており、ゆったりとした待合所などにかつての賑わいを感じ取ることができます。

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伊予鉄バス北条営業所。ここから庄府・立岩方面のバスが廃止される(宮武和多哉撮影)。

 4路線の運営はコロナ禍の前から厳しく、立岩線の沿線地域では住民の強い要望によって買い物施設への無料送迎バスが運行されていたり、丹波線の沿線では新道沿いに他社の特急バスが運行されていたりすることも、廃止に至った要因です。

※ ※ ※

 このほか、滋賀県大津市では江若交通の路線バスが大幅に再編され、堅田葛川線の名物バス停、その名も「途中」発着の系統が廃止され、「途中」は文字通り途中のバス停となるなどの変化が生じています。

【了】
※一部修正しました(3月24日11時08分)。

【写真】「途中」止まりのバス廃止→途中を途中で経由するバスの終点

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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コメント

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2件のコメント

  1. バス事業者や自治体に取材をして書いているのででしょうか。
    取材しなくても、廃止に向けての協議会の資料やバス事業者の社史を見たら分かるはずのことなのに、裏付けや取材が取れていないのでは。

    阪急バスの廃止は、西谷も西能勢もどちらも共通しているのは、田園バスが阪急バスに合併されて運転士の賃金が増えたことで運行するのにかかる経費が上がった、コロナ禍で乗客と収入が大幅に減少、さらに自治体からの補助金の減額や打ち切りが原因。ここが大きなポイントなのでは。

    「三田線」は阪急バスの路線でいうなら「東部三田線」に名前が変わっている。
    それに西谷の住民の共同出資で~という流れで記事を書いているのに、会社設立から道路開通まで尽力された田中先生、先生の尽力によって開通した十万道路を通る宝塚線の廃止に触れていないのは悲しい。

    妙見口能勢線は京都交通の廃止代替で合っているけど、74系統じゃなくて系統番号なしでは?

    能勢の郷も、かんぽの宿の民営化も原因の一つだけど、こっちは京都交通じゃなくて福住から来ていた国鉄バスの廃止代替です。

    • マニアの持論はブログでどうぞ。いま非公開にされてるんでしたっけ?