たった1編成JRに存在した「先頭だけ普通車2階建て」 常磐線“丸い頭の415系”の教訓

設計思想はオール2階建て215系に受け継がれる

 やがて常磐線には、遠方からの通勤需要に応えるべく1995(平成7)年にE501系電車が登場しています。こちらは座席をロングシートとし、扉を片側4か所設けた通勤形でした。

 2005(平成17)年7月に新型E531系電車が導入されると、交代するかのようにクハ415-1901は運行が休止され、翌2006(平成18)年に廃車されました。なお常磐線のE531系は2007(平成19)年から、グリーン車として2階建て車両を2両連結しています。

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かつて常磐線の主力だった415系電車のうち、ステンレス車体となった1500番台(画像:photolibrary)。

 クハ415-1901はたった1両の試作車でしたが、誕生の翌年である1992(平成4)年には、これをベースにした全車2階建ての215系電車が登場しています。「湘南ライナー」や「おはようライナー」など、停車駅を限った東海道線のライナー列車として運行されたほか、一時は湘南新宿ラインやホリデー快速などにも使われました。

 215系の座席数は、当時主力だった211系より約4割増と、収容力の大きさが特徴。ただやはり、クハ415-1901のように乗降の効率が悪いことがネックとなり、だんだんと活躍の場を狭めていきました。結局40両の製造にとどまった215系も、2021年3月のダイヤ改正で定期運用を終了しています。

【了】

【豪華? 質素?】クハ415-1901の弟分、オール2階建て電車の車内

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コメント

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5件のコメント

  1. さみしい見方すると、この車ができた時から乗降に時間がかかるからラッシュ時に使えない。
    というデータがちゃんと重要視されてれば、215系はニートなどと呼ばれずにちゃんと働ける形式になった可能性があるよね。

  2. 岡山から高松を結ぶ快速マリンライナーはずっと現役で走ってますが・・・
    JRで唯一無二というのはどうなんでしょうか・・・

  3. 215系の車内はともかく、クハ415-1901の車内の写真は無いのですか…。

    記事のタイトルから思い出話にとどまらず、クハ415-1901の資料を取り揃えて発信して欲しいなと思いました。

  4. こんだけ「参考画像」置いといて(それも同じような構図のE531ガンガン載せて)、クハ415-1901の車内画像は1枚もないんですね……。

  5. 都心に向かうJR路線としては首都圏唯一の交直流路線ゆえに
    必ず他路線のお下がりではなく新車を投入してもらえる常磐線が羨ましい