“鉄道の後始末”続くニュータウン 桃花台のピーチライナーなぜ15年で廃止 地域は呪縛から解放?

後始末が続く鉄道 かたや地域は「バス転換で便利になった」?

 鉄道廃止から16年が経過したいま、桃花台ニュータウンには鉄道の代替バスとなる小牧駅行き(ピーチバス)の他に、JR中央本線の高蔵寺駅、春日井駅方面、そして名古屋市内直通のバスが発着しています。

 しかしこれらのバスは、かつてほとんど存在せず、バス路線開設の要望も「鉄道があるから」との理由で却下続き。桃花台新交通の主要株主が名鉄ということもあってか、地域最大手の名鉄バス(子会社)が動く気配はなく、ニュータウンの将来に影を落としていました。

 この状況に痺れを切らした桃花台の自治会は、地元のタクシー会社に委託する形で、JR春日井駅方面方面への会員制バスの運行を開始(その後路線バスに移行)、現在の廃止代替バス「ピーチバス」につながっています。

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桃花台東駅前に停車する「ピーチバス」。バス停名は「大城」(宮武和多哉撮影)。

 なおピーチライナーの廃止後に廃止代替バスへ移行した際は、JR春日井駅、高蔵寺駅方面、栄・名古屋駅方面直通などの系統は想定より実績を伸ばし、廃止路線と同じルートをたどる桃花台~小牧駅間は今ひとつだったとのこと。桃花台~小牧駅という移動ルートそのものが伸び悩んでいたことが伺えます。

「鉄道→バス転換」は時として地域に大きな損失となるケースもありますが、ピーチライナーの場合は「バス転換で便利になった」という声も強く、鉄道がある意味“呪縛”となっていた節も見られます。建設に至ったものの「どう使われるのか」という前提がなく、実力を発揮できなかったピーチライナー。その名残が消えるまで、あと十年ほどかかりそうです。

【了】

【地図/写真】現役時代のピーチライナー 特殊な線形もくっきり地図に

テーマ特集「【特集】消えていく面影、今も走れる…鉄道の「廃線」どこにある?」へ

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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コメント

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3件のコメント

  1. 元々高蔵寺まで延伸する予定が中止になった事も一因ですね。
    高蔵寺まで延伸すれば、桃花台→高蔵寺→名古屋となり乗り換え1回で名古屋に行けたはず。

    利用者減による値上げが一番大きな要因だと思います。
    たった15分に380円も払えません。

  2. ピーチライナーはすべてが中途半端で結果として誰からも望まれていなかったように思えます。
    もし仮にピーチライナーが普通のヘビーレール路線として高蔵寺駅まで建設され、名鉄犬山線の小牧支線を廃止せずに残していれば
    直通運転で岡崎~高蔵寺~小牧~岩倉~一宮という愛知大環状線が実現して武蔵野線的ポジションを得られたことでしょうが
    これは夢のまた夢でしょうね (こうなった場合は城北線~あおなみ線~南方貨物線の存在意義がなくなりますが)

  3. 春日井市への乗り入れに反対した小牧市商店街は滅ぶべき