「あ、元京王だ!」も30年以上 京王帝都5000系は何がスゴイのか 地味・遅いのイメージ払拭

譲渡され地方で現役 それだけ先進的だった

 5000系の廃車は1987(昭和62)年より始まりました。最初に非冷房・吊り掛け駆動の5100系24両が対象となりましたが、そのうち21両が伊予鉄道に引き取られます。伊予鉄道は引き取った5100系を冷房化するなど改良し、700系としました。

 18m車体3扉の5000系は、地方鉄道では使いやすい車両だったこともあり、その後も廃車後の譲渡が続きました。富士急行(現・富士山麓電気鉄道)1000形・1200形、一畑電気鉄道(現・一畑電車)2100系・5000系、高松琴平電鉄1100形、わたらせ渓谷鐡道わ99-5020、5070(トロッコ列車の客車に改造)などが挙げられます。

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譲渡され、一畑5000系となった元・京王5000系(初代)(2015年4月、安藤昌季撮影)。

 そしてさらに譲渡され、2023年現在は伊予鉄道700系が銚子電気鉄道3000形に、富士山麓電気鉄道1200形が岳南電車9000形となっています。

 なお一畑5000系は、京王時代の5000系構想時に断念された“2扉クロスシート”に改造されて、ロマンスカーとなっています。富士山麓電気鉄道1200形は、一部が特急「ふじやま」用としてクロスシート化(岳南電車9000形として現役)され、1000形は工業デザイナー・水戸岡鋭治氏による改装を受けて、2扉クロスシートの「富士登山電車」となっています。

 京王帝都電鉄の5000系は、1996(平成8)年に全て廃車となりましたが、先頭車両が東京都日野市の「京王れーるランド」にて保存されています。名車5000系の影響は大きく、後継8000系電車の前面デザインに影響を与えたほか、「京王ライナー」で活躍する5000系電車(2代目)にその名が継承されているほどです。

 譲渡先での元5000系は廃車が進んでいるものの、どの会社でも現役車両が在籍しており、0系新幹線より前に作られた先進的な通勤形車両の活躍は、今も続いています。

【了】

【懐かしい名車の姿】新宿行きの「初代」京王5000系

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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