「ベンツのミニバン」の良い所って? 新型Vクラスの挑戦状 アジアで始まる“アルファード討伐作戦”

「日本のミニバン包囲網」ニーズはそれだけじゃない?

 そこで今回の新型Vクラスか、という流れになるのです。フロントマスクは、大型のスリーポインテッドスターが鎮座し、ジュエリーのように小さなスリーポインテッドスター散りばめられたグリルは、Sクラスにも通じる威厳と華やかさ。そしてトップグレードのエクスクルーシブには、今ではマイバッハなど一部の超プレミアムモデルにしか採用されない、ボンネットマスコット(フードマスコット)がつき、格の高さを表しています。

 もちろん、インテリアも一気に先進的かつゴージャス化しており、とくに車中泊向けのモデルとなるマルコポーロになると、その豪華さは一目瞭然。ミニキッチンや折り畳みの大きなテーブルがキャビンに備わり、ポップアップテントでベッドルームが独立。これはまるで、陸を走るクルーザー!? とうっとりしてしまうほどです。

 ただし、こうしたVクラスのゴージャス化は、なにも日本市場でアルファードに対抗するため、というだけではなさそう。というのは、近年中国でVIP層向けの新型ミニバンが続々と登場しており、中国で不動の人気を手にしていたアルファードさえも、うかうかしていられない状況となっているのです。

 しかも、中国のBYDとダイムラーの合弁会社「デンザ」が発表したラグジュアリーミニバンのD9をはじめとして、新型ミニバンの多くはBEVで、床下にバッテリーを敷き詰めて低重心化しつつ室内空間も広くとれるので、走りも快適性も両立しているとのもっぱらの評判。また、タイでも以前から、VIP層がアルファードハイブリッドを社用車として好むなど、アジア諸国がこのミニバン争いの格好のステージとなる可能性も大。となれば、Vクラスが「我こそがアルファードを倒そうぞ」と、真打ちとしてそこに突入しようとしているのも納得です。

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デンザD9。アルファードにかなり似ている(画像:デンザ)。

 新型Vクラスが日本にやってくる時期は未定ですが、いよいよ底力を発揮してきた本当のVクラスの魅力を、思う存分堪能してみたいと今から楽しみで仕方ないのです。日本でも、VIPの多くがクラウンやセンチュリーではなくアルファードを選ぶようになった時代。EクラスやSクラス、はたまたGクラスからVクラスに鞍替えする人も、きっと多いのではないかと予想しています。

【了】

【え…】これが「車内キッチン付きベンツ」Vクラスです(画像)

Writer: まるも亜希子(カーライフ・ジャーナリスト)

カーライフ・ジャーナリスト。20年以上に及ぶ国内外での取材経験を生かし、雑誌・ウェブサイト・TV・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、安全&エコドライブのインストラクターも務める。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2006年〜)。現在はYoutube「クルマ業界女子部チャンネル」でもユルく楽しいカーライフ情報を発信中。

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