「国産輸送機つくるけど外国機を採用します」なぜ? 韓国の決定に国家のしたたかさを見た!

目指すは総数約200機! 壮大な韓国の新型機プロジェクト

 MC-Xについては、今年(2023年)10月にソウルで開催された航空宇宙防衛展示会「ソウルADEX」において、コンセプト模型と今後の開発計画が発表されています。MC-XのMCは「マルチロール・カーゴ」の頭文字で、この機体は輸送機としてだけでなく、同じ機体をベースにした派生モデルの開発も念頭に置かれています。

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エンブラエル社が導入決定のリリースで発表した韓国空軍仕様のC-390のコンセプトアート(画像:エンブラエル)。

 開発のロードマップとしては、輸送機として最初に生産するモデルを「ブロック1・カーゴ」という名称とし、その後のアップデートで空中給油機型や空中消化機型といった派生型を生み出すほか、空中から宇宙ロケットを発射するALTO(Air Launch To Orbit)プラットフォームにする構想まであるといいます。

 さらに、輸送機型とは別に胴体短くし翼を改良した「スペシャル・ミッション・プラットフォーム」タイプを開発し、こちらをベースに海洋哨戒機型や空中早期警戒機型、スタンドオフジャマー(電子戦)仕様など、輸送機以外の派生型に発展させる計画もあるとのこと。

 メインとなる輸送機型とこれら派生型を含めると、韓国国内だけでも100機程度の需要が想定され、これに海外で運用されているC-130の機体更新や派生型の需要を加えると、最大で200機程度の生産が想定されている模様です。

 このように、多くの派生型の開発を計画初期から盛り込む理由は、1国での単独開発による生産数の低下とコストの上昇を防ぐためであり、さらにいえば韓国国内における高コストを理由とした国産開発反対の意見を抑える狙いもあると筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は考えます。

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