「THE ROYAL EXPRESS」四国に見参! 東急の豪華観光電車 “電化区間を自走しない”夢のコラボで実現!?

「電車」ですが「電車」として走りません!

 今回のツアーは、企画運営主体となる東急をはじめ、列車を牽引する電気機関車をJR貨物が、初日の岡山~高松間をJR西日本の所属車両が担うほか、四国内の全般的な運行と地域連携をJR四国が担当。専用バスとクルーズフェリーの運航は、岡山を拠点とする両備グループが担当するなど、複数の鉄道事業者の協力体制で成り立っています。コラボレーションを得意とする東急ならではの企画なのです。

 さらに、鉄道ファン目線での珍しさは、単にふだん四国に来ることがない列車がやってきたというだけではありません。ロイヤルは「電車」で、しかもコースは電化区間のみを走行するにもかかわらず、自車のパンタグラフ(集電装置)は使わず、完全に「客車」として運行されます。

 牽引する電気機関車を先頭に、ディーゼル発電で給電する電源車マニまで従え、それを車内電源に充てるというその珍編成にも注目です。非電化区間も走った北海道でも同様の編成でしたが、電化区間だけでこうなったのは、四国ならではの“お家事情”があるそうです。

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今回のクルーズに合わせ、車両先頭に「SHIKOKU・SETOUCHI CRUISE TRAIN」の文字が(坪内政美撮影)。

 それは、もともと非電化区間を電化させた予讃線のトンネルの規格が小さく、特定の電車以外は車両のサイズとパンタグラフに制限があって通れないためです。今回のロイヤルのマニアックな見どころですが、先頭1号車展望席から見られる、トンネル前後で機関車パンタグラフが収縮する様子は、乗らないと見られない“鉄分濃いめ”な光景といえるでしょう。

 今回のクルーズトレインの応募はすでに締め切られており、募集人数の3倍の申し込みがあったといいます。巡礼者への”おもてなし文化”が定着している四国において、このツアー乗客と地域をつなぐ起爆剤としての役割もあるのではないでしょうか。単発ツアーで終わってしまうのか、来年も継続して実施されるのか、初の取り組みに期待が高まります。

【了】

【四国ならでは!?】これが特別仕様「ロイヤル」です!(写真62枚)

Writer: 坪内政美(スーツの鉄道カメラマン)

1974年生まれ、香川県在住。いつでもどこでもスーツで撮影に挑む異色の鉄道カメラマン・ロケコーディーネーター。各種鉄道雑誌などで執筆活動をする傍ら、予土線利用促進対策協議会のアドバイザーやテレビ・ラジオにも多数出演するなど、鉄道をワイフワークに活動している。著書に「鉄道珍百景」「もっと鉄道珍百景」「駅スタンプの世界」「100万キロを走ったセドリック」(いずれも天夢人刊)がある。

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