「急行→普通→急行」何がしたいの!? 名鉄ダイヤのお家芸「種別変更」の背景にある「逆転の発想」とは

「あれも停めたい、ここは通過したい」の苦肉の策

 
●「男川・藤川に停めたい」という理由で「急行→準急」に変更

 16時以降に名鉄名古屋を発車する上り方面の急行は、1時間6本のうち2本が「東岡崎から準急、豊川稲荷行き」となっています。かなり末端部で種別変更となりますが、これは「男川と藤川の2駅に停めるため」です。

 この種別変更のおかげで、この2駅は夕夜に1時間4本を確保しています。郊外の帰宅需要に答えて、ピンポイントかつ柔軟に対応しているのでしょう。ちなみにこれら列車は、名鉄名古屋以北で大里に“特別停車”もします。

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名古屋本線の二ツ杁~須ケ口間にある新川橋駅。すぐ奥に須ケ口駅があるため、停車本数は最小限に抑えられている(乗りものニュース編集部撮影)。

●「新川橋・西枇杷島・東枇杷島だけ通過したい」という理由で「普通→準急→普通」に変更

 須ケ口から名鉄名古屋までは、需要の少ない小さな駅が連続します。これらの駅だけ通過するために、わざわざ「普通、須ケ口から準急、名古屋から再び普通」という2段階の種別変更を行う列車が複数あります。

 さらに「普通、須ケ口から準急、名古屋から急行」というパターンもあります。「須ケ口から急行」としない理由は逆に、途中の二ツ杁だけは停車したいという狙いがあるのでしょう。

 名鉄には特別停車の反対で「特別通過」というのも多くありました。今回のパターンだと種別変更せずに「終点まで普通、新川橋・西枇杷島・東枇杷島のみ特別通過」とする手もありますが、特別通過は誤乗問題を生むとして忌避されはじめたのか、ダイヤ改正で徐々に減らされ、2023年に完全消滅しています。

●「あれも停めたい、ここは通過したい……」がありすぎて「種別変更&特別停車」が混在

 犬山線の新鵜沼駅を平日朝6時47分に出発する上り列車は、「急行、名古屋から普通、鳴海から再び急行、西尾線吉良吉田行き、豊明と北安城に特別停車」というすさまじい運用です。これを解説すると、

・急行だが、山王・呼続・桜・本笠寺・本星崎には停めたい。豊明にも停めたい。
・「鳴海から準急」にしてもいいが、有松・中京競馬場前に停めるほどではない。
・「新安城から普通」にしてもいいが、碧海古井・堀内公園・西尾口に停めるほどではない。

 という様々な「あれは停める、これは停めない」の葛藤を経てできたものだと推測できます。実際、名古屋近郊の6駅はこの種別変更のおかげで、6~22時台で「1時間4本」の間隔を保つことができています。豊明駅も6~9時台で「1時間5本」を保っているので、「三方よし」というわけです。

【画像】えっ…!これが伝説の名鉄「種別変更&分割&ランデブー走行」の奇天烈ダイヤです

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