隠密作戦に最強の乗り物!? 新型「ボート」もとい「板」がスゴイ! 戦い方をガラッと変える可能性

装備次第で無人水上艇にも早変わり

 さらにSOAL社では、「グラビティ・ジェット・スーツ」など他社の最新機材とのハイブリッド運用も研究しているようです。

 グラビティ・ジェット・スーツは、背面と両腕に装着した小型ジェットエンジンにより飛行するもので、日本でもニュースや動画サイトなどで紹介されています。たとえば、ハイジャックされた貨物船やタンカーに対して、ジェット・ボードで接近し、ジェットスーツで一気に甲板上へ部隊を展開させる、といったことができるかもしれません。

 KRAKAジェット・ボードはペイロードの異なる3タイプが用意されており、小さいほうから順に「MIL250」「MIL400」「MIL600」と名付けられています。数字はそのままペイロード(kg)を示します。行動可能な距離はバッテリー1個で10kmであり、予備を使うことで最大30kmまで延伸可能とのことでした。

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2024年現在、世界中の軍隊や法執行機関で使用されているゾディアック社のインフレータブル・ボート。映画などでもおなじみのボートではないだろうか(画像:アメリカ陸軍)。

 筆者は、ジェット・ボードをヨーロッパの安全保障関係者向け装備展示会で発見したのですが、製品説明を受けて「これはゲーム・チェンジャーになるのではないか」と、大きな衝撃を受けました。これまで、この分野はゾディアックの「一強」状態が数十年続いており、機能的な進化がまったく見られませんでした。

 同社の担当者も「私たちもゲーム・チェンジャーとなるように開発しました。いや、必然としてそうなるでしょう」と自信満々だったのが印象的です。

 すでに複数の部隊で試験運用が開始されているため、そこで得られた知見がメーカーにフィードバックされてさらなる改良が加えられ、より良いものへと進化するでしょう。ひょっとしたら近い将来、特殊部隊で「KRAKAジェット・ボードが常識」となっている可能性も決して小さくないと思える、そんな一品でした。

【了】

【アイア●マンかよ!?】これが新装備「ジェット・ボード」の使い道です(写真)

Writer: 飯柴智亮(元アメリカ陸軍将校)

東京都出身。州立北ミシガン大学在学時に米陸軍予備役士官訓練部隊(ROTC)で訓練を受ける。1999年、米陸軍入隊。第82空挺師団に所属しOEF(不屈の自由作戦)に出征。2005年、少尉任官。ストライカー旅団などで勤務。2009年除隊。国際政治学修士。極真空手初段。

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