「修学旅行が忙しいので高速バス運休」という苦渋の決断 難しくなる“需要爆発”への対応 人手不足でどう乗り切る

予約を開始した高速バスを、「修学旅行の需要集中」から運休し、払戻しをせざるを得なくなるという事態が発生。路線バス、高速バス、貸切バスの間で一時的に集中する需要を補い合う体制も、人手不足によって変わってきています。

「高速バス運休」決断→払戻し対応 影響は大きい

 富山地方鉄道が2024年5月に、高速バスなどの一部の便を運休すると発表しました。理由を「富山市内中学校の修学旅行による輸送需要の一時的な増大に対応するため」としています。全国的にバス乗務員が不足する中ですが、予約受付開始後の便を運休し個別に払い戻すのは異例で、苦渋の決断だと思われます。

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富山駅バス乗り場。右端に富山地方鉄道の高速バスが停車中(画像:photoibrary)。

 特に富山~名古屋線は、新幹線だと乗り換えが1度または2度必要な区間を東海北陸道経由により最短距離で結ぶ人気の路線で、運休は一部の便とはいえ、利用者への影響もバス事業者の収益へのマイナスも小さくありません。

 それにしても、修学旅行の貸切バスに需要が集中するために高速バスを運休するというのは意外です。というのも、中学校の修学旅行の多い5月の平日は、高速バスにとっては閑散期だからです。

 逆に、例えば毎年8月の上中旬は、「夏の甲子園」の応援団輸送のため貸切バスの車両稼働率が上がり、同時に高速バスも繁忙期を迎え稼働が逼迫します。出場校が勝ち進むとお盆の帰省ラッシュと重なるため、地元校を応援する気持ちと車両や乗務員の運用の心配との間で担当者はいつもやきもきします。

 言い換えれば、高速バス部門と貸切バス部門とで車両や乗務員をやりくりすること自体は一般的なことなのです。

 特に富山地鉄のような地方の乗合バス事業者は、大きな営業所を抱え路線バス、高速バス、貸切バスなどを一手に運行しています。乗務員は担当が分かれるものの、繁忙日には運行管理者の判断で他の部門を応援する体制が組まれているのが普通です。高速バスの続行便(繁忙日のみ走る2号車、3号車)に貸切バス用の車両が投入されることもよくあります。

 今回の件からは、時期的にも事業者の性格的にもシビアではない条件にもかかわらず運休を余儀なくされるほど、乗務員が不足している状況が伝わってきます。

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