上から眺める航空ショー? 危険な山あいをデモ飛行する軍用機、そこまでする理由とは(写真23枚)

軍事強国であることを宿命づけられた国

 スイス空軍がこれほどの危険を払い、山岳地帯で訓練を行うのには、もちろん理由があります。

 ご存知の通り、スイスは永世中立国家を宣言しています。一方で昔から傭兵の歴史があり、現在でも徴兵制を採用し、予備役も約21万人を確保、有事の際には国民皆兵です。第二次世界大戦の時には軍事的中立の立場から、連合国や枢軸国を問わず領空侵犯を行う航空機を撃墜してきました。中立を維持するための、軍事強国というわけです。

 そのような歴史から、アルプス山脈を擁する山岳国家スイスでは、常に山岳地帯での作戦行動が必須となっています。このような山岳地帯での公開訓練を行うことで、空軍の高い技量を内外にPRし、国防への意識を高めているのではないでしょうか。

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デモフライトを行うタイ空軍の「グリペン」。2017年10月現在、スイス空軍が導入を検討している(2017年、石津祐介撮影)。

 現在、スイス空軍は約2万6000人の人員で、うち専任の軍人は約1600名となっています。スイス空軍ではかつて、老朽化したF-5E「タイガー」の後継機種としてサーブ(スウェーデン)が中心となり開発した「グリペン」の導入を検討、いったんは国民投票で否決されましたが、最近になって購入の再検討が報じられるようになりました。

 F-5Eに変わって「グリペン」を眼下に見下ろすことができるようになるのも、そう遠くないかもしれません。

【了】

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Writer: 石津祐介(ライター/写真家)

専門誌を中心に、航空機の取材、撮影を行うライター、写真家。国内外を問わず世界各地の空港やエアショーなど取材。航空機以外にも野鳥、アウトドア、旅行など幅広いジャンルの取材を行っている。

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