海自イージス艦こんごう型、あたご型、まや型どう違う? 似ていても異なる仕様の背景

最新鋭艦、まや型の特徴は?

 まや型はあたご型をベースに開発されていますが、当初から弾道ミサイルの迎撃能力を備えているほか、味方の航空機や艦艇と情報を共有できる「CEC」(Cooperative Engagement Capability、共同交戦能力)も備えています。

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アメリカ海軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ラッセン」の主砲「Mk.45 Mod4」。あたご型とまや型も同じ主砲を搭載している(竹内 修撮影)。

 艦艇に搭載されるレーダーは、水平線以遠の艦艇や、洋上を超低空で飛行する巡航ミサイルのような目標を補足することが困難です。「CEC」は航空自衛隊も導入する「E-2D」などの航空機が搭載するレーダーが捉えた水平線以遠の艦艇や超低空を飛行する巡航ミサイルなどの目標情報を受け取って艦艇から攻撃を行なえるようにするもので、近年中国やロシアが開発・導入を進めている、超音速巡航ミサイルへの対処の切り札となることが期待されています。

 こんごう型とあたご型はガスタービンエンジンのみを使用して航行しますが、ガスタービンエンジンは低速航行時には燃費が悪いという難点があります。このためまや型は、燃費性能の向上と航続距離の延伸を図って、低速航行や巡航時にはガスタービンエンジンが発電した電力でモーターを駆動してスクリューを回転させて航行し、高速航行時にはモーターに加えて別のガスタービンエンジンを駆動させる、「ガスタービンエレクトリック・ガスタービン複合推進」と呼ばれる推進方式を採用しています。

 北朝鮮のみならず、中国、ロシアといった弾道弾保有国に囲まれた日本にとって、イージス護衛艦はもはや不可欠な存在となっています。また前にも述べたように海上自衛隊のイージス護衛艦は元々、資源の乏しい日本にとって不可欠な資源を輸送する海上交通路「シーレーン」を守るために建造が決定した護衛艦で、シーレーン防衛の要という役割は、いまも失われていません。

 こんごう型は既に就役から20年以上が経過していますが、今後も長期に渡って運用する必要があることから、1番艦「こんごう」を皮切りに寿命延長工事が行なわれており、まや型の2番艦が就役する2021年度以降には、4個の護衛隊に各2隻のイージス護衛艦が配備され、日本の海と空を守っていくことになります。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 実写版空母いぶきが公開されたら
    シン・ゴジラ以上の大反響になりそうな予感
    そして実写邦画も充実しそう