電車の荷物棚が進化する 昔はひもを編んだ「網棚」 いまは「忘れ物防止機能」付きも

荷物棚のない車両も?

 鉄道車両にとって荷物棚は当たり前の存在のように感じますが、実は荷物棚のない車両も少なくありません。

 荷物棚のない車両の多くは地下鉄や路面電車で、たとえば札幌市交通局の地下鉄車両には開業以来荷物棚が設置されたことがありません。これは、地下鉄の場合、短距離利用が中心で乗車時間が短いためと説明されています。

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路面電車も短距離利用が中心なため荷物棚がない路線が多い。写真は荷物棚の部分を照明にして、天井をその分高くした富山ライトレール(児山 計撮影)。

 また、静岡鉄道の車両やかつての名古屋市交通局東山線の車両のように、荷物棚が車両の一部にだけ付いているというパターンもありました。

 乗車距離の短い路線では荷物の上げ下げの手間を嫌い、荷物棚があまり使われないというデータもあり、関西では約8割の乗客が「利用しない」と回答したデータもあります。乗客が抱える荷物もかつてのショルダーバッグやハンドバッグから、背中に背負うリュックサックやキャリーケース付きのトランクとなり、荷物棚に載せる荷物が減ってきているのも確かです。

 かつては荷物棚に置かれた新聞や雑誌を「回し読み」する文化があり、宮脇俊三さんの『時刻表2万キロ』でも筑肥線の車内で雑誌を荷物棚に放置して乗り換える描写がありました。しかし現在、車内ではスマートフォンの画面を眺める人が多くなり、新聞・雑誌を読む人は激減。乗車マナーも向上して読み終えた新聞・雑誌は車内に放置せず駅のごみ箱に捨てるのが“当たり前”となりました。

 さらに海外からの旅行者が増えた現在は、荷物棚よりもむしろ床上に大型の荷物置き場を用意するケースも見られます。11月に運行を開始した京成電鉄の3150形電車は、座面を跳ね上げるとスーツケース置き場になる座席が一部に導入されています。

 荷物棚の使い方も、時代とライフスタイルによって変化しているようです。

【了】

【写真】荷物棚がない札幌市営地下鉄

Writer: 児山 計(鉄道ライター)

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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コメント

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3件のコメント

  1. JR東209系は窓を大きくしたのに合わせて網棚も高い位置に。
    そのため手荷物の膝置きや床置きが増えて邪魔になった。
    網棚の高さは103系と同じくらいの高さが使いやすくて良い。

  2. 申し訳ないのですが、103系とか209系とかいつの話ですかね。
    あまりに古くてどんな高さかイメージ着きません。

    今の山手線E235とか、E233は設置位置がかなり下がっていますよ。
    女性専用車両に使われる車両はさらに50mm低いですし。

    個人的には、メトロ車両が若干高めかなとは感じますが、
    数分で乗り換えるのであれくらいでもまぁいいかなと思ってしまう。

    • 209系は未だ現役だけど?
      中央、京葉、武蔵野線等。
      103系も西はまだ残ってるしな。
      まぁ小学生は知らんか。