発車時刻と標準時刻 列車の閉扉 発車はいつなのか 最近は到着までの「時間」案内も

直感的に分かりやすい案内へ 列車の位置情報をアプリで配信

 さらに、都心の駅間距離が短い区間では、運転計画において発車時刻が決められた「採時駅」と、発車時刻が決まっていない「非採時駅」が存在する路線もあります。こうした路線の時刻表は「標準時刻表」と呼ばれ、通常の「発車時刻表」とは異なり、運行状況によって発車時刻が前後することもあり得る「目安」に過ぎません。

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京都鉄道博物館に展示されているダイヤグラムの実物。列車の運行時刻は秒単位で決められている(2017年10月、恵 知仁撮影)。

 このように様々なややこしいルールが盛り込まれた時刻表は、運転本数が多い都心の鉄道では必ずしも使い勝手が良いものではありませんでした。そこで、直感的に分かりやすい、次の列車の到着までの時間が案内されるようになったというわけです。

 それではこうした表示は普及していくのでしょうか。近年は各鉄道事業者が公式アプリで列車の在線位置の案内を開始しており、列車のリアルタイムな位置情報を活用した案内が強化される方向に進むのは間違いなさそうです。

 一方、列車間隔が10分を超える路線や、行先や種別が複雑な路線、あるいは通過待ちなどで到着時刻と発車時刻が異なる駅では、かえって分かりにくくなる懸念もあります。JR東日本は、利用者の反応を見つつ今後、他路線にも展開するかを検討したいとしていますが、路線や駅によっては発車時刻の案内が引き続き用いられることになるでしょう。

【了】

【写真】カウントダウン形式 台湾の地下鉄にある案内装置

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

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4件のコメント

  1. 某市営地下鉄は00分発車なのに59分に発車しちゃいました。
    電波時計持っていたから時間は正確にホームに足を運んだつもりでしたが、その後ずっと待ちぼうけ。

    • 一部の路線は採時駅で時刻が定められています。それ以外の駅は標準時刻といって、時刻が定められていないので乗降が完了したら直ぐに発車します。なので、基本的に目安です。採時駅で00分が59分に発車するのは問題ですが、その他の駅では特に問題でもありません。2分前を目安にホームに降りましょう。

  2. 都市部などの近中距離路線では採時駅が設定されており、そこで時刻調整をします。採時駅以外では標準時刻となっており、時刻表は目安みたいなもんです。発車時刻も決められてないので乗降が完了したらすぐに発車します。00分発なのに59分発車した!と騒いでいる人はこれを知りません。

    • 知らされていないのが普通ですよね