日高本線バス転換でどうなる? 全国「鉄道廃止→バス化」その後

「鉄道がなくなった街」のその後

 本州に目を向けると、2007(平成19)年に廃止となった茨城県の鹿島鉄道の代替バスは、周辺道路の渋滞による遅延が頻発したことで、一時は鉄道時代に1日1000人ほどあった利用者数が3割ほど減少しました。しかしその後、線路跡をバス専用道に改修し「かしてつBRT」として整備することで所要時間を短縮させ、何とか1日900人程度まで持ち直しました。

 同じ茨城県内では2005(平成17)年に廃止された日立電鉄跡地の専用道を運行する「ひたちBRT」(日立電鉄バス)も徐々に実績を伸ばし、自動運転などの実証実験が頻繁に行われるなどしています。

 一方、2003(平成15)年に廃止されたJR可部線(広島県)の末端部、可部~三段峡間は、紅葉の名所である三段峡への観光客が数年でほぼ半減したこともあり、廃止前から鉄道と並行していた広電バス三段峡線の乗客数も、5年ほどで鉄道廃止前の水準以下に。現在では各自治体や広島県からのバス路線の補助も増額された一方で、徐々に減便が進んでいます。

 また鉄道の並行道路に海岸線特有の険しい地形の区間が多かった、のと鉄道能登線(石川県、2005年廃止)代替バスのように、所要時間の増加によって、沿線から区域外への通学が難しくなるといった問題も起きがちです。

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現役時代の三江線。石見川本駅にて(宮武和多哉撮影)。

 2018年に実施されたJR三江線(島根県~広島県)の全線廃止にあたっては、全長108.1kmの各地域で14路線のバスが設定されたものの、なかには1日の利用実績が平均0.1人程度と低迷し、早々に廃止となった区間もあります。運賃も区間ごとになり、数時間バスを待たないと島根・広島県境を越えられないなど、クルマを使わない他地域からの移動はかなり難易度が上がったといえます。ただ鉄道の時代も、運転本数の少なさから通学需要をまかなえなかった場合が多く、沿線の各市町は早い段階で自前のコミュニティバス整備を進めていました。

【画像】鉄道存続区間と真っ向から競合? 日高本線代替バス

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コメント

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6件のコメント

  1. 旧国鉄士幌線で早期にバス転換された区間なんて代替バスはもう帯広~旭川の都市間急行バス「ノースライナー」の1往復のみなんだよねぇ…。

  2. 二元論以外には例えばどんな方法があるのでしょうか

    • やっぱり日本の方だけあって「先に二択のハコモノ決定ありき」なんでしょうか?
      やっぱり日本的なユーザー置き去り目線で「道具だけ適当に決めちゃえ」目線で掲示板に書き込んでるんですね?

      その「お座敷」というお名前にとても日本の伝統を感じますね。ジャパニーズ・ハコモノ思考、ビューティフル!

  3. 一応関係する地域から見ても、転換バスのダイヤはひどい。。
    所要時間の問題は代行バスでさんざん文句が出てたのにほぼ改善ないとか、路線図もどこが中心街かさっぱり分からないとか、自治体はこの5年間何やってたんだか?あと日高本線で残った苫小牧ー鵡川は実質死んだようなもんだし。
    でもこれも、鉄道なら鉄道、バスならバスで、どう使うか議論してこなかったからだろうね。首長同士の話し合いばっかりしかしてなくて、意見聞きだしたのが直前になってからというのもお粗末すぎて。

    そういう意味では、乗り物ニュースは二元論で「鉄道ガー!」「バスガー!」って道具の話ばっかりな読者層だろうし、よくこのサイトでこの記事載せたな・・・

  4. ラストの「鉄道かバスかの二元論でいいのか」って聞いて

    鉄道とバス(道具)だけ思い浮かべるか
    「鉄道とバス」というサービスを作る過程を思い浮かべるか

    で、人によって全然違う読み方になりそう
    オタ具合を図るバロメーター…いや何でもないw

  5. 鉄道もバスも「線と点」に人が集まらないと乗客は増えない。
    その線と点に人を集める方法から考えないと鉄道でもバスでも存続は難しい。