「浅草」じゃないです!! 「浅草橋」は何が違うのか “悲劇”を防ぐ注意喚起も

青海と青梅、亀戸と亀有、新高島と新高島平……。字や音が似ているがゆえに間違えたという声は、SNSでしばしば聞かれます。そのような中、JR浅草橋駅には「浅草は地下鉄をご利用ください」との掲示があります。

浅草の一部だった!?

 青海駅(東京都江東区)と青梅駅(同・青梅市)を間違えた――SNSでしばしば聞く駅の混同ですが、インバウンドの復調により、世界中から観光客が訪れている、ある場所もそのひとつかもしれません。
 
 それは浅草と浅草橋。どちらも東京都台東区に所在しますが、浅草は区の東部、浅草橋は南部と別の場所にあります。そして、どちらにも地名を冠した駅が存在し、両駅を通るのが都営浅草線です。

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都営浅草線の浅草橋駅(2023年8月、大藤碩哉撮影)。

 先述の青海駅/青梅駅のように、SNSでは浅草駅/浅草橋駅の混同も聞かれます。外国人の割合が高いようですが、例えばイベント開催時も、主催者が「浅草と浅草橋は別です」と呼び掛ける光景も見られます。またJR浅草橋駅(総武線各駅停車)の改札口には、「浅草は東口を降りて地下鉄をご利用ください」と大きく掲示がされています。

 もっとも、両駅間は浅草線で2駅しか離れておらず、歩いても国道6号沿いを2km弱進めば到達できるので、青海駅/青梅駅ほどの悲劇は生まないかもしれません。とはいえ、目的地を間違えたくはないものです。そもそも、なぜ至近距離に似た地名が存在するのでしょうか。

 浅草は浅草寺(せんそうじ:7世紀創建)の門前町として古くから栄え、商人の町・下町として現在に至ります。一方の浅草橋は、そこに「浅草橋」という橋が架かっていることに由来します。

 浅草橋は神田川を渡河しますが、橋はかねてから浅草寺への参詣客も多く通りました。架橋は17世紀とされます。重要な街道筋となったこの地に、江戸幕府は浅草御門を建てたのです。たもとの橋は「浅草御門橋」と呼ばれましたが、いつしか御門が外れ浅草橋となったようです。

 かつての東京市には浅草区が存在しましたが、南限はこの浅草橋でした。そして現在の台東区も範囲を継承し、浅草橋から北西側の住所は「浅草橋1丁目」です。ちなみに南西側は中央区日本橋です。

 つまり浅草橋は、地域として見た際の「浅草の南の入口」と捉えられるでしょう。

【了】

【浅草じゃないから】全力アピールの注意喚起とは(写真)

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