「去年まで機内清掃員でした」裏方→接客の最前線へ 異色の配置転換を切り抜けたJALグループ社員の“適応力”

まったく異なる職種&客層へどう対応したのか?

 また、JALグループとはいえ、スプリング・ジャパンはいわゆるLCC。座席を乗客好みに合わせ選ぶことや、定められた重量以上の手荷物を預ける・持ち込むということは、追加料金を要するオプション扱いとなり、その部分はフルサービスキャリアであるJALより、はるかに厳格な基準を求められます。

 そのうえ、スプリング・ジャパンは中国からの訪日需要をメインターゲットとした航空会社です。そのため、日本語・英語はもちろんのこと、中国語での対応を求められるほか、客層もJALのような国内フルサービスキャリアとは異なります。そのようななか地上係員として勤務する2人は、業務のなかで印象的なエピソードを次のように話します。

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JGSの岩村昴樹さん(乗りものニュース編集部撮影)。

「日・英の2か国語はもちろん、中国語を話せないとハナシにならないと考えて、大学のときにさわりだけ学んだ中国語を学び直しました。中国語を話せるスプリング・ジャパンの方をはじめ、まわりの方に『この言葉をどうやったらうまく言えますか』と聞きました。英語の中国語読みをして『発音がわかりやすいね!』といっていただけたときは、結構うれしかったです」(岩村さん)

「以前、機内持ち込み荷物の重量制限を超えてしまって、『追加料金を払うなどの対応をしないと搭乗できない』お客様がいらっしゃいました。それを本人に伝えたところ激昂してしまって、免税店のお土産を床に叩きつけ警察が複数人駆けつけてくる事態になったことがあるんです。そのお土産をひとつひとつ拾って、一生懸命慰めたところ、『また乗るね』という言葉といただけたことは印象的なエピソードですね」(木津谷さん)

※ ※ ※

 なお、彼らふたりは成田空港旅客サービス部門のスタッフを対象とし、2023年10月に実施された接客コンテスト「N-1グランプリ2023」に出場。JALの地上係員に引けを取らない高いクオリティの接客を披露しています。

 また、岩村さんによると、地上係員となった現在でも、トーイングトラクターの運転免許などは保持しているとのこと。将来的に、“地上係員とグランドハンドリングスタッフの二刀流”の出現は、珍しいことではなくなるかもしれません。

【了】

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