「弾道ミサイルじゃないんですが…」北朝鮮の“ロケット”発射が平和利用でもダメな理由 他国はOKでも

なぜ衛星打ち上げロケットも禁止なの?

 こういったことから、国連安保理決議では北朝鮮による弾道ミサイルの発射を禁じているのですが、注目すべきはここでいう「弾道ミサイル」の範囲です。一般的に、弾道ミサイルとはロケットの先に弾頭を載せ、これを目標地点に向かって楕円軌道により撃ち込む兵器のことを指します。

 しかし、北朝鮮が2009年に人工衛星「光明星2号」を打ち上げるため用いたロケット「銀河2号」発射の際、アメリカや日本をはじめとする各国は、北朝鮮がどのような主張をしようと、これは安保理決議に違反する弾道ミサイルだと意見を一致させました。

 というのも、衛星打ち上げロケットと弾道ミサイルでは、結局、用いる技術は一緒だからです。そこで、たとえば2013年3月7日に採択された「国連安保理決議2094(S/RES/2094)」では、次のような文言が挿入されています。

「北朝鮮が、弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射、核実験又はいかなるその他の挑発もこれ以上実施すべきでないことを決定する」

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海上自衛隊の護衛艦「きりしま」。いわゆるイージス艦で、写真は対空ミサイルの実射訓練のシーン(画像:朝鮮中央通信)。

 このように「弾道ミサイル」ではなく「弾道ミサイル技術を使用した」にすることで、平和利用のロケットであっても含まれます。従って、北朝鮮の打ち上げるものが、弾道ミサイル、衛星打ち上げロケットのどちらであっても、結局それらは同じ技術を用いているため、その発射は国連安保理決議に違反し、国際法に違反しているということになります。

 今回の発射についても、日本政府は「衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射」と呼称しているのは、そうした理由によるものなのです。

 北朝鮮は、今後も衛星の打ち上げを行い続けると明言していますが、それがいかなる形であれ、ロケットによる打ち上げである限り、国際社会からの非難を伴うことは必至といえるでしょう。

 裏を返すと、北朝鮮のロケット発射が続くかぎり、日本は警戒態勢をとり続ける必要があるのです。

【了】

【ロゴマークも描いてる!】これが北朝鮮の衛星コントロールセンターの内部です(写真)

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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