「鉄道員は"乗せてやる"ではダメ!」100年前から苦言が!? 冷淡・怠慢・羞恥心無し…問題視された昔の仕事ぶり 今は変わったのか?

鉄道員が特に「欠如」していたもの 改善へ思い切った「一手」も!?

 さて前掲『鉄道事業者の実務』はいくつかの「現業の欠点」を挙げていますが、最初に指摘するのは「社交的知識の欠如」です。

「現業者の最も重んずべき常識にして、また最も注意せねばならぬ重大の礼儀」への理解がないため、尊大で傲慢な態度で旅客に接します。また駅長や助役は係員を使用人のように扱い、怒鳴り散らすなど、組織内部でも同様でした。

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駅員のイメージ(画像:写真AC)。

 そのため世間の現業員への視線は厳しいものでした。1913(大正2)年発行の現業職員向け啓発書『現業員とお客様』には、「今なお一般公衆の吾人(我々)に対する態度は甚だ冷淡なるものがある。吾人現業員たるものは、深くこの点について鑑みるところがなくてはならぬ」とあります。

 面白いのが意識変革の一例として言葉遣いが挙げられていることです。「乗客」を「お客様」と言い換える、「恐れ入ります」と付け加える、「してはならぬ」ではなく「なさらぬようお願いします」と言うなど、事例ごとに様々な例をあげています。ここ40年の国鉄や営団の民営化で散々叫ばれた「啓発」は、実に100年以上前から語られていたのです。

 こうした状況を変えるべく鉄道当局が打った一手が「女性駅員」の登用でした。時代はやや遡って1903(明治36)年、事務職として採用した30人余りの女性職員から4人を選抜し、新橋駅の出札掛(きっぷ売り場係)として配置しました。乗客の評判は上々で、やがて大ターミナルにも広がります。1914(大正3)年に開業した東京駅では、出札掛の4分の3が女性で占められていたといいます。

 もっとも女性だから接客が良いというのは、ある意味で「偏見」であり、この試みは昭和期に入ると縮小してしまうのですが、現業員の接客態度について当局が問題視していたことを示す傍証なのは確かです。

【画像】まさにカオス…これが地獄の「終戦直後の東京の電車」です

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