【空から撮った鉄道】思わずジオラマにしたい!春ならではの「空鉄」術 世界を彩る桜 菜の花はちょっと厄介

先の号では冬の空鉄シーンを紹介しました。季節は春。今まで空撮してきた中から、春のシーンをまとめてみました。代表的な桜や菜の花も、地上から見るのと空から見るのとでは表情が違うのです。

この記事の目次

・地上で映えるから空からも…というわけではない
・空撮にも関わる、菜の花のちょっとした問題とは
・黄色、桜色… さらに「緑色」も
・【ギャラリー】春の空撮あちこち

【画像枚数】全24点

地上で映えるから空からも…というわけではない

 3月。地面は若草に覆われ、木々は若葉が芽吹き、桜のつぼみが開き淡い色となって彩りを与え、菜の花の黄色がまぶしく目に飛び込んできます。春は陽光も暖かくなって生命の息吹を感じさせ、心も体も軽くなるようなフレッシュな気持ちとなります。

 春の空撮は大変清々しく、桜を狙って何年かに1度空撮してきました。私は東京がベースのため、都心部や千葉県を何度か訪れています。千葉県の理由は、桜と菜の花が沿線に咲き誇る小湊鉄道といすみ鉄道があるためです。鉄道と桜が撮れるロケーションは地上だと数多ありますが、上空からバランスよく双方が映える場所というのは、意外と限られるなと感じています。

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小湊鉄道の里見駅南側は菜の花の絨毯だった。点在する桜に水の張った田んぼ、さりげない春のひとコマはジオラマにしたいほど美しい(2012年4月12日、吉永陽一撮影)。

 地上で桜越しに列車を狙える場所があるとしましょう。桜を手前に配したアングルで、バランスよく列車を入れて捉える。それを上から見ると……桜の木があって、線路があります。列車が来ました。それを俯瞰しました。となってしまい、単なる桜と鉄道の記録写真となってしまうのです。鉄道の空撮記録としてはありでしょうが、私は「空鉄」というライフワークを追求しているので、春に感じる内面の気持ちを空撮に投影したいのです。

 そこで、事前に桜と鉄道が絡められそうな場所を列車に乗って下見し、その地点を空撮してみて、ここは表現できそうだ、そこは記録程度で撮っておこうと経験値を積み重ねていっているのです。情緒的な空撮というと、ちょっとぼんやりして意味が掴みにくいですが、もっと春の情緒を感じさせる空撮はないのかと模索しているのです。

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JR中央線の千駄ケ谷駅は新宿御苑がすぐ隣だ。ホームからは柵があって見えないが、上空から見ると色とりどりの桜が美しい。若干、半逆光気味に狙うことで桜の陰影を出した(2011年4月13日、吉永陽一撮影)。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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