東京駅の床に歴史あり 昭和初期に発生したある事件
首都の玄関として、まもなく100周年を迎える東京駅。そのとある場所に、不思議なマークが埋め込まれています。かつて歴史が動いた場所です。
狙われた首相の命
1914(大正3)年12月20日に開業し、今年で100周年を迎える東京駅。首都の玄関口であるこの駅は、歴史の舞台にもなりました。
新幹線中央乗換口の在来線側には白い床面が広がり、そのなかにポツンと1ヶ所、茶色いマーク状のものがあります。そこで今日から84年前の1930(昭和5)年11月14日、ある事件が起きたからです。
その朝、ときの首相である浜口雄幸は東京駅へやってきました。そして岡山県で行われる陸軍特別大演習を参観するため、午前9時発の特別急行「燕」神戸行きに乗ろうとホームを歩いていた、そのときです。銃声が鳴り響き、浜口首相は腹部をおさえてうずくまります。右翼の青年、佐郷屋留雄に撃たれたのです。
浜口首相は駆けつけた医師によって応急手当てされたのち、東京帝国大学医学部付属病院で緊急手術。一命は取り留めましたが、翌1931(昭和6)年8月26日に62歳で亡くなっています。
犯人の佐郷屋留雄は、浜口内閣の「ロンドン海軍軍縮条約」批准、統帥権干犯問題が不満で銃撃におよんだといわれています。
「ロンドン海軍軍縮条約」は艦船保有量の制限などを目的にしたもので、浜口内閣は海軍軍令部の要求を拒否してこれを批准。それが天皇の統帥権をおかしたとして「統帥権干犯問題」が発生していました。
東京駅の新幹線中央乗換口付近の床にある茶色いマークは、この84年前に発生した浜口首相銃撃事件の現場を示すものです。付近の柱には、事件を説明するプレートも設置されています。
また東京駅では、1921(大正10)年11月4日にも同様の事件がありました。当時の首相、原敬が暗殺されたのです。丸の内南口改札外にその現場を示すマークと、事件を説明するプレートが設置されています。
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