片翼喪失でも生還可能 人工知能で「落ちない飛行機」実現なるか

ライバルはNASA? その先を行く日本の実験

 こうした人工知能による操縦アシストの研究は、海外においても行われています。特にNASA(アメリカ航空宇宙局)は、戦闘機など破損する頻度が高い軍用機をベースにした研究で一歩先んじており、F-15の実機を用いた試験も実施しています。

 とはいえもちろん、F-15を実際に空中で破壊しては危険です。よって、通常の戦闘機型F-15を改造した試験飛行用のNF-15Bで、故障をシミュレーションしました。

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NASAの「知的飛行制御研究(IFCS)」に用いられた、試験型NF-15B。通常のF-15に「先尾翼(カナード)」「推力偏向エンジンノズル」というふたつの舵が追加されている(写真出典:NASA)。

 一方、日本で実施した「耐故障飛行制御システム」の研究では、この分野における安全性向上の研究としてはほかに例がない、実証試験用無人機を空中で破損させるという、世界最先端レベルの試験に成功しました。なお、こちらはNASAと異なり、戦闘機よりも操縦能力が劣る小型民間機をベースにしています。実用化は2020年頃を見込みます。

 今後も右肩上がりに増大すると予測される航空需要に対し、墜落事故の発生確率は下げ止まりの状態にあります。このまま航空輸送量が増大すれば、墜落事故は確実に増加することが懸念されています。

 そうしたなか「耐故障飛行制御システム」は、「落ちない航空機」を実現するために、重要な操縦支援システムになりうる可能性を秘めています。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. 自動運転で『魂の駆動体』が、アビオニクスの発展で『戦闘妖精・雪風』が、それぞれ実現化するのか。

  2. 今から発表してはいけない気がする。
    ある程度、実用化の目処が経ってから
    発表すべきですね。
    また、ブラックボックス化も必要です。

    でないと、他国に狙われる事になるでしょう。
    また、某友好国より邪魔されるでしょうね。