中国戦闘機、注目は20より10? 初披露J-20の陰に隠れた最新主力機J-10Bの「実力」

地味なJ-10Bがことさら注視に値する理由

 F-2は2000(平成12)年に、世界に先駆けてAESAレーダーを搭載しました。そしてソフトウェア開発に十数年を積み重ねています。対するJ-10Bは、2014(平成26)年に中国空軍への配備が始まったばかりです。またF-2は、欠けていたネットワーク交戦能力が順次、追加されているため、つい先ごろ実用化されたばかりのJ-10Bに劣るとは考えにくいといえます。

 しかし中国は、日本とは比較にならないほど多くの防衛予算を組み、多額の研究費を投入しています。もちろんF-2も、ソフトウェアの更新によって性能が向上し続ける見込みですが、いずれJ-10BはF-2に匹敵するようになるであろうことは、ほぼ間違いありません。そしてJ-10Bで培ったソフトウェア開発技術は当然、J-20にも投入されることになるでしょう。

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J-10Aおよび複座のJ-10S。J-10Bとは「赤外線捜索追尾装置(IRST)」や「DSI」を持たないなどの差がみられる。写真はアクロバットチーム「八一飛行表演隊」(関 賢太郎撮影)。

「エアショーチャイナ」の数日前、2016年10月30日(日)には、航空自衛隊岐阜基地において、日本のステルス機である先進技術実証機X-2、いわゆる「心神」もまた初めて一般公開されましたが。X-2は地上展示でした。一方のJ-20は、量産型とみられる機体による飛行展示ですから、次世代ステルス戦闘機の開発は中国がはるかにリードしています。

 現状、中国は、機体そのものの開発技術に比べソフトウェアにおいて比較的、遅れをとっています。しかし明日の中国を、昨日までの遅れた中国と見なすことはできません。J-10Bは現在の主力を担うと同時に、この欠点を補い将来を見据える上で最も重要な機種であるといえます。

【了】

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