トヨタ燃料電池バス「SORA」、乗って見えた特徴と課題 普及目指しまずは都バスから

車体販売価格に見る国や自治体の本気度

「SORA」を使った路線バスは、すでに東京都が運営する都営バスで運用が始まっており、東京駅丸の内南口~東京ビッグサイト間を走行中。こちらは誰でも乗ることができます。今後、東京都環境局は2020年までに都内で100台以上の普及を目指しており、その最初のステップとして、都営バスに先行導入車を含めて5台が活躍しています。

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2018年5月現在、都営バスで5台の「SORA」が走っている。写真は試乗会のもの(大音安弘撮影)。

 気になる「SORA」の車体価格ですが、なんと約1億円と聞いてビックリ。FCVの「MIRAI」も723.6万円と、同クラスのクルマと比べて高価ですが、それを大きく上回る価格です。ところが、環境性能に優れるFCバスを普及させるため、導入するバス事業者には国や自治体による補助金が交付され、導入価格は一般的なディーゼルエンジンバスと同等の2000万円程度で済むそうです。

 とはいえ、航続距離は200kmほどで、水素の充填には水素ステーションまで出向く必要があり、主流であるディーゼルエンジンのバスよりもエネルギーコスト高となるなど、まだまだ課題もあります。ただインフラ整備と水素の価格は、FCVやFCバスの普及が進めば、どんどん負担が軽減されるだけに、次世代の環境車としてFC車を普及させるためには、やはり積極的な取り組みが重要となります。

 総合的に見て、ルートや走行距離などが固定される路線バスは、FC車導入に最適ともいえます。トヨタによれば、全国の自治体や企業からFCバスの問い合わせがあるとのこと。国としても環境対策として普及の後押しをしていくので、近い将来に、全国で見かけるようになることでしょう。

【了】

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Writer: 大音安弘(自動車ライター)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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コメント

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6件のコメント

  1. 個人タクシーの場合、ガスを入れに行く距離と消費を考えるとガソリンで仕事をするのも変わらないと聞きました。
    さてさて横揺れに影響する屋根の重量物は?ディーゼルバスの空調や冷凍冷蔵トラック他、燃料をガスとした場合のバスも高所に重いシステムがあるのは同じですが
    このバスの場合は屋根をフラットに見せるデザインも影響してるんじゃないでしょうか?
    他の量産バスとは違い、書面だけではなく(たまに抜き打ちで実測?)、このような特種なバスは製造会社で最大安定傾斜角度の値を出すに実測はしていると思いますが、よくここまで造り上げて実用にこぎ着けたな~と思います。

  2. 先行導入車からの変更点くらい書いてくれよ

  3. 車内の段差が従前のバスのまま。
    そろそろ日野ブルーリボンの中身からフルチェンジ希望。

  4. 再生可能エネルギーや超高温炉を使った電気分解によって大半のエネルギー需要を賄うことができる、水素エネルギー社会の構築、これが私の長年の夢だ。
    米国も含め、不安定な国々に囲まれ、不安定な地域からのエネルギー輸入に頼らざるを得ない我が国の状況を何としても変えたい。
    スイッチを入れればすぐに暖を取ることができ、スーパーに商品があふれているのが当たり前と思って思考停止している人間ばかりのこの国で、関係者の方にはぜひ頑張っていただきたい。
    国策を誤ったために禁油措置を取られ、300万もの命を犠牲にしたという事実がたったの70年前に起きたということを忘れてはならない。

  5. 基本路線から行けば「トヨタ」からではなく「日野自動車」から出すのが順当だと思うんですがね~
    実情は判りませんが、個人的にはトヨタが「オレがオレが!」って感じられて・・・

  6. 一定ルートから外れないし、公共インフラで補助金入れやすいし、バスってのはこういう実験にちょうどいいんだろうな
    韓国は非接触充電の実験を路線バスでやってるはずだし

    あと、前から疑問なんだけど、水素を製造するコストって安いの?