発車1日たった11本、山間のターミナル備後落合駅に変化 乗客増の陰に地元の支え

かつては100人以上が働いていた「陰陽連絡」の拠点

 備後落合駅は1935(昭和10)年、現在の芸備線が三次方面から延伸した際に終着駅として開業し、その後すぐに備中神代側、島根県の出雲横田側(木次線)からの線路もつながりました。それまでほとんど何もなかった海抜462mの谷あいに、3方向へ路線が延びるターミナルが誕生したのです。

 かつては広島と島根、鳥取を結ぶ急行・快速などが走り、備後落合駅構内の転車台と石炭供給設備もフル回転。全盛期には116人がこの駅で働き、駅横の官舎や独身寮、物資部も大いに賑わいを見せたといいます。

 また、ホームのうどん店では、うどんの上におでんを3種類のせた名物「おでんうどん」が売られ、列車が到着するたびに利用客のあいだで争奪戦が起こっていたとのこと。駅前にもタクシー、食堂、理髪店などが立ち並び、「落合銀座」と呼ばれたそうです。

Large 181122 bingo 02

拡大画像

かつて蒸気機関車が方向転換していた備後落合駅の転車台(oleolesaggy撮影)。

 しかし、この賑わいは長くは続きませんでした。規格が低くスピードアップが望めないこのルートは、重要性を失っていき、追い打ちをかけるように蒸気機関車の気動車への置き換えが進んだことで職員の数も減少。さらに高速道路の整備を背景とした高速バスの攻勢で乗客も減っていきます。平成に入るとワンマン列車のみの発着となり、1997(平成9)年には無人駅となりました。

この記事の画像をもっと見る(8枚)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

6件のコメント

  1. たった、10人程度しか増えていないのは誤差の範囲内
    それだけで廃線を免れる明るい兆しとでも?
    人口減少は絶対不可避の未来
    1日5本しか列車が来ない時点でバス転換は確実でしょ

  2. 備後落合~新見方面・木次方面への接続が非常に悪い。備後落合~新見間を乗車しようと思ったらわざわざ新見で宿泊しないといけなかった。このようなダイヤでは「乗り鉄」が「最高難易度の路線乗車(例えるならばゲームの「ステージ」)をクリアする」ような感じになってしまい、実用的には乗車利用困難な状態に陥っている。

    この地域の路線(芸備・木次線全線)を乗り通せる便数を一日あたり5往復程度はほしい。そうするだけでもかなり訪問しやすくなる。

    • 鉄道は乗りテツのためにダイヤを組んでいるわけではありませんから。

  3. 陰陽連絡線機能は下り側が実質伯備線、もしくは智頭急行線経由になっているように感じます。
    例えば特急はまかぜ1号に乗って浜坂に着いても、わずか4分前に鳥取行きが出発してしまう不便さ…長距離観光客のみならず、近隣地域からの観光客や地元の人たちが理不尽になってしまうように思います。

    鉄道ファンとしては1日でも長く走って欲しいですが、今回の芸備線の早い復旧も去ることながら、災害復興や利用客の多い地域での耐震対策などで課題が山積みのJR西日本を思うと、いろいろ厳しいかなと思います。

  4. 2020年10月7日(水)から、開催中の観光キャンペーン「せとうち広島デスティネーションキャンペーン」で「庄原ライナー」や臨時列車が運転されている。 少しは乗客が増えているのだろうか。(乗り鉄向け)
    備後落合は風情のある駅で、何時間もいるのも良い。 木次線も、芸備線東行き・西行きも、中国山地を実感できて良い。 ただ各車両が毎回満員になっても、赤字なのだろう。
    広島ー米子間に夜行「ちどり」が走っていた頃の時間の流れの速さは、今の何分の1だったのだろう、などと思う。

  5.  電話で予約するとバスが来るオンデマンド・バスと同様な事が、ローカル線で出来ないものだろうか?
     沿線住民が電話で予約すると、既存のダイヤの合間をぬって、1両編成の小型車両がやって来る。

     車両は7~8人乗りのハイエース程度のサイズで、コンピューターによる自動無人運転。本来の列車との行き違い(退避)は、オンデマンド側は車両が小さくて軽いので、各駅に残る錆び錆びの側線でも十分だし、新設するにしても「ト」字形の行き止まりヒゲ線で十分。

     いつどこで何が飛び出して来るかも判らない、公道での自動運転システムを、膨大な時間と費用を掛けて開発するのに比べれば、遥かに安い費用で安全なシステムが作れると思う。