【帰省と「乗りもの」】クルマの「先進運転支援システム」巡る誤解 作動条件の確認不足が事故のもとにも

きちんと作動しても「止まる」とは限らない

 ところが、全国の消費生活センターには、そうした先進運転支援システムが効かない、あるいは誤作動するといった一般からの相談が、その普及へ比例するように増えており、2013年度に17件だったのが、2016年度には37件となっています。うち8割以上を占めるのが、衝突被害軽減ブレーキに関する相談。「作動しないことがあるのを知らずに事故を起こした」「センサーが道路わきの電柱を誤認識して、前方に何もないところでブレーキが作動して停車した」などがあるそうです。

 先進運転支援システムは、もともと100%確実に作動するものではなく、どの自動車メーカーも「状況によって作動しないことがある」と説明しています。また、障害物などを認識するのは、カメラやミリ波レーダー(電波の反射を利用して障害物の位置や距離を測る装置)などのセンサー類ですが、そうしたセンサーは、表面がドロや雪などで汚れると、うまく作動しなくなることがあるのです。カメラであれば、逆光で前方が見えなくなることがありますし、暗すぎたり、霧や豪雨などで視界が悪かったりすると、人間の目と同様に、障害物をうまく認識できなくなります。

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スバルの運転支援システム「アイサイト」は、主にカメラで障害物を認識。悪天候時には性能が低下したり、一時停止状態になったりする場合もある(画像:スバル)。

 さらに言えば、システムが正常に作動しても、「クルマが必ず止まる」とは限りません。路面が雨や雪などで滑りやすいと、ブレーキが作動しても止まりきれないのです。JAF(日本自動車連盟)が圧雪路と氷盤路(アイスバーン)で衝突被害軽減ブレーキのテストを行っていますが、雪上では乾いた舗装路とは異なり、衝突被害軽減ブレーキがきちんと作動しても止まらないケースがあると報告しています。

 また、システムにより減速できる量が決まっており、それより走行速度が高くても止まれません。たとえば「自動ブレーキ作動から最大30km/hぶん減速できます」というシステムなら、40km/h走行時に作動すれば、前方の障害物に衝突する可能性が高いわけです。

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コメント

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1件のコメント

  1. 企業の好感度や税制絡みを主体とした売り文句の製品の性能なんて毎度こんなもん
    設計や不具合の炙り出し以前の問題で動機が不順すぎる
    固い物体や中を舞う風船のような柔らかい物体の認識、以前からの課題であったにも関わらずこの辺りで開発の分配を誤った感は否めませんね。
    これは長引きますよ。